HONZをご覧の皆様こんにちは。梅雨の最中ですがいかがお過ごしですか?ジメジメしたこのシーズンから夏にかけて、私の目下のお悩みはお弁当が腐りやすくなること。私の勤務する大垣書店烏丸三条店はビジネス街の真ん中で、おしゃれなお店がいっぱい、お弁当屋さんもいっぱいなのですが、私はほぼ毎日休憩室でお弁当を食べています。食べている最中にスタッフの皆さんとお話ができて楽しいのと、あとは…。節約です(笑)
毎日のお弁当というのは行楽弁当とは違って、冷蔵庫にあるものや前の日の残りもので、パッと作れて飽きないよう具材に変化をつけることが重要かなぁと思うのですが、そうすると彩りなどが二の次になってしまいがち。難しいなぁと思いながら料理本売場をウロウロしていたら、ステキな1冊に出会いました!
離婚によって父子家庭となった著者渡辺さんの家庭。高校に入学する息子に渡辺さんは尋ねました。
「お金渡すから自分で好きなものを買うか。それともパパがお弁当を作るか、どっちがいいの?」答えは「パパの弁当がいい」。そこから「3年間、毎日お弁当を作る!」という渡辺さんの目標が生まれ、このステキなお弁当奮闘記が出来上がったのです。
もともと料理上手だった渡辺さんの作るお弁当だけあって、初期の段階からかなりクオリティは高いです。それが段々お弁当箱に凝り始め、食材が地方の特産品を用いた凝ったものになり、彩りや盛り付けが美しく進化していきます。
お弁当の進化に伴い息子さんも成長していきます。恋をしてダイエットをしたいと思うようになった息子さんの悩みに、渡辺さんはお弁当のヘルシーメニューで協力を惜しみません。本当は運動したほうがいいのではないかな、と思ったそうですが、それは言わずにご飯の量を減らしても、少しでもお腹がふくれるように、色々と研究されたようです。お弁当に妥協を許さない、渡辺さんの努力は息子さんにもしっかり伝わっていて、息子さんの書く番外編エッセイも掲載されているのですが、父と子の絆に感動してしまいました。
「ケンカになることなんてほとんどないけど、一度だけすごく怒られたことがありました。テレビに出ていた男性アイドルグループを見ながら、「いいなぁ、僕もこんなイケメンに生まれたかったなぁ」と、自虐的なことを言ったときのことです。「自信を持って生きろ!オレはそういうことを言うヤツは大キライだ」と、かなりの剣幕で言われたことがあって。(中略)多分「男だったら簡単に落ち込んだり、弱った姿を人に見せるな」ということだと思います。確かにお父さんは、どれだけ疲れていても「大丈夫、大丈夫」とか言いながら飄々として家事をこなしていますから、いつも凄いなと思っています。これから、自分に自信の持てる男になれるかどうか、まだわからないんだけど、お父さんがいつもすごくいいお手本を見せてくれているから、参考にしたいです。」
渡辺さんは言います。毎日お弁当で会話しているのだと。仕事で訪れた土地の事、旬の素材の美味しさ、食べることの楽しさ、そして息子への愛情。渡辺さんが込めた思いはちゃんと伝わっていて、息子さんは自分に子供ができたら愛情たっぷりのお弁当を自分も作りたいと言っておられるそうです。
手早く安くできるお弁当作りのヒントも満載ですので、女性におすすめのなのはもちろんのこと、たくさんの言葉をつむぐよりも、背中を見せて、自分の作品であるお弁当を与え、成長を見守る渡辺さんの父親としての姿が本当にステキなので、是非男性に読んでいただきたいです!!
お母さん、奥さん、彼女の作る手料理で一番好きなものは何ですか??男性陣に「女の子が作ってくれると嬉しい手料理って何??」とたまに聞いてみるのですが、最近は一位「肉じゃが」ではないのですね。私調べによると「カレー」が多いです!!カレーって具材を切って炒めて煮てルーを入れるだけなのに!なんて単純な…。と思っていたのです。
ところが…。みなさん凝ったカレーをお作りになるのですね。とびっくりした1冊がこちら。
市販のカレールーを入れるだけがカレーじゃなかった!!
「おいしいが得意なあの人のおうちカレー」とあるように料理の専門化の方も多いですが、料理上手な著名人の皆さんのレシピも掲載されています。キャイーンの天野さんが「天野会」で振舞う牛バラ肉煮込みカレーも掲載されていますし、料理本を沢山出版されている「分とく山」の野崎さんの、根菜カレーには和食のようにゴボウやこんにゃく、大葉が入っているのです!レシピだけでなくカレーにまつわる思い出が書かれており、読むと絶対作りたくなりますよ。
「朝ごはん」というより「breakfast」と呼ぶのがぴったりな、シンプルで美しいワンプレート。食材の色使い、盛り付け、そしてライティング、構図などデザイナーである山崎さんのセンスがいかされている、見るだけで幸せな気持ちになれる日々の記録です。
ただ食べられたらいい、美味しければ見た目にはこだわらないというのもひとつのあり方ですが、美しい食べ物がこんなにも心をときめかせ幸せな気持ちにしてくれるのだと、この本は教えてくれました。
きっとこの美しいプレートを差し出されたら、感嘆の声があがるでしょう。高価な器に盛らなくても、高級食材を使わなくてもいい。この本に納められた朝食は、白磁のプレーンな皿に盛り付けられ、スーパーで買える食材で作られています。それでも一手間かけること、心を配ること、相手を意識することで、毎日こんなにも美しい朝食を作り出すことができる。それは日本人のおもてなしの心の現われだと思います。いつまでも眺めていたい芸術書のような1冊です。
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