新年を迎え、新たな気持ちが芽生える月。心機一転、髪をバッサリ切りました。山本甲士『わらの人』にもあるように、髪型を変えると意識する部分も変わり肌の調子や服装などが気になってきます。元来、面倒くさがりの私でも実践できそうなスキンケア本を探していましたところ、こんな本を見つけました。
頑張りのいらない「ちょこっとメソッド」。化粧水のつけかたや顔の拭き方、ボディラインを保つための筋肉トレーニングなど、頑張らなくても簡単に出来ることばかりなので少しずつ実践していこうと思います。女性は外見だけでなく内面の美しさによって印象が変わると書いてあり、『内面』について深く考えてみたいと思いました。
夏目漱石の『こころ』とトーマス・マンの『魔の山』に込められた心の力の源を辿っていくという冒頭の部分から引っ張られる感覚を受けました。『自分を否定してしまう』ことありませんか。大多数の意見に賛成出来ない時など自分が間違っているのかもしれないと曲げてしまうことはありませんか。
生き辛いと感じる時代に生を受けた私たちは生きていくために何が必要なのでしょう。内面の美しさとは、揺れ動くことのない心なのではないでしょうか。一長一短で結果の出ないスキンケアと同じで心もすぐには変わることができません。
しかし、姜尚中さんの仰るように”人の心は時代とともにあり、また時代は人の心を映し出して”います。逃れることは出来ないのです。ならば、私は、逃げずに強がらずに心と向き合っていこうと思ったのです。
自分のことは自分の努力次第で良いかもしれないが、他者の言葉に右往左往してしまう心はどうしたらいいのだろう。そう思ったときに、小池龍之介『”ありのまま”の自分に気づく』を読みました。
高校時代、三年間同じ担任だった先生は、卒業式の日「他人はあくまでも他人なのだから、他人に認めてもらうことを考えてはいけない。自分で自分を認めて褒めてやることを学びなさい」と仰られました。困っている人がいたら手を差し伸べましょうという精神で育っていた私には認めてもらおうと思っていたつもりは全くなく、どこか納得がいかない気持ちで先生とお別れをしました。
小池さんの著書は、多分先生の仰りたかったことを分かりやすく書いてくださっているのではないかと思いました。自分と他者のバランスは目に見えるものではないので難しいと感じます。ここでは、”自分が自分のことを「これでよし、大丈夫だ」と思えているパーセンテージが、50%くらい自給自足できていれば、その残りの足りない分を、ほどよく人とのコミュニケーションを通して受けとめてもらうことで補ってやればいい”とあります。
見つめ返すと、仕事で認めてもらいたいとかこれだけ家事をやったんだとか自分のためではないのですよね。高校の時も「誰か」が自分の世界の中心にいたなと思います。他人から否定されないように生きたいと思いますし、イライラさせたくないと先回りして考えてしまう癖もあります。でも、その先に満足はないのですよね。いつしか心がからっぽになって息切れしてしまいました。
「承認」とても難しいことだと思うのですが、だからこそキーポイントだと思うのです。こうしなくてはいけない、こうでなくちゃと考える己を律して無理しない程度に「承認」してあげること。自分を自分で信じてあげること。それが今を生き抜くための「心の力」であるように思うし、内面の美しさにも比例してくるのではないかと考えました。外見からも内面からも自分を保つ。これが私の今年の目標。
決めた傍から出来る事なら当チェーンで旋風を巻き起こしたいと2月20日頃発売予定となっている…安藤祐介『おい!山田』を読んで、抑え込んでいる情熱が溢れそうになってしまいました。思わず宙を見上げてしまうような素晴らしい本に年何冊かは出会える。その時、私は自己満足でも何でも形にしたいと思うのです。
根底には届けたいという想いがある。でも、多分、形にしたときに見た人と本について会話をする時間を作りたいのだろうなと思う。切っ掛けをつくりたいと思う。もっと面白いことをしたいと貪欲なんだと思う。一生懸命の人が、どうしてなのかなと孤独になりそうなとき、戦友と呼べる存在が傍にいれば二人で読んで欲しい。
言葉を交わしアイデアを出し、同じ目標に向かっている人同士ならきっとどんなにどん底であっても旋風を起こせるはずだから。自分を保ちながら本から受ける情熱に忠実でいたいというのは贅沢であろうか。否、可能にしたいと思う。
最後に、『心の力』より引用させてください。
”心の力は、人生に意味を与える物語においてのみ、よりよく理解できる”
誰かの心の力となれる本をより多くお届け出来るよう精進してまいりたいと思います。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
1982年、AB型。埼玉県にて育つ。大手書店、街の書店を経て、現書店で働く。地図ガイド・児童書・文庫のお手伝いをしている。文芸を愛するアルバイト。今年の決意は自分を保つ、熱意を形にする、文章能力をあげる。本と同じくらい愛しているのは吐息が出るほどの美味しい日本酒。
【山下書店南行徳店】
〒272-0138 千葉県市川市南行徳1-16-1
TEL 047-314-5898 FAX 047-307-8977
「当店のフリーペーパー『ギフト』隔月刊行予定。地元に愛されるお店を目指す。」