我ながら素晴らしいアイデアを思い付いたときに、「これ特許にしたら儲かるかな」などと想像した経験はないだろうか?
私はある。しかし、そのアイデアを具体的に特許にするやり方は、ほとんどの人が知らないはずである。
本書は一般的な特許出願方法から、常識では考えられないような特殊特許まで、笑えて学べる特許の入門書になっている。この本のポイントは「笑えて学べる」にある。特許と聞くと取っ付き難いイメージだが、これなら手に取るハードルを一気に下げてくれる。
取り上げている事例には、秋元康が発案したAKB48のアイドルを振りまくる恋愛ゲームだったり、作家の東野圭吾がサラリーマン時代に取得した技術だったり、特許初心者も簡単に読み進めることができる。
以下、興味をそそられたタイトルをあげてみよう。
- 越後製菓VSサトウ食品 「切り餅」を巡る熱き戦い
- 世界一の知財大国・中国
- 増加する離婚率を減少させることができるのか?夫婦が分かれることのない指輪!
- 巨大津波が来てもダイジョーブ!? どこにでも自由自在に移動できる原子力発電所!
- 葬式のやり方が特許になっていた! 故人がよみがえる「動く遺影」とは?
越後製菓とサトウ食品の「切り餅」争いは、なんと餅に入れる、切り込みの位置が争点だったりする。これは今だに裁判の決着はついておらず、ビジネスは「陣取り合戦」であることが伺える。パクリ…もとい模倣文化が発達している中国では、知らぬ間に世界一の知財大国になっている理由も明らかに。それぞれは一話完結型になっており、本書はどこからでも気軽に読み進めることができる。
中でもコラムが秀逸だ。短くまとまっている割に、初心者でも充分に特許の基本が理解できる内容となっている。知的財産権とは何か、特許が取れたら何ができるかなどが知れ、軽く読める割に費用対効果は高い。
ちなみに本書のデザインは素晴らしく、レイアウトも綺麗で読みやすい上に本のサイズがコンパクトで読みやすい。堅いジャンルの本を見事に柔らかくしている。(つい本書のスタイルも特許出願済か?と考えてしまう)
もしこのアイデアって使えるのかな?と思う人は巻末に特許に必要な料金表もあるので、検討してみてはどうか。また「特許電子図書館」webでは誰でも閲覧できるので、類似出願をチェックしてみるのもいいかもしれない。
―――――――――――――
特許電子図書館