ヨーロッパ19カ国で現在も行われている冬から春にかけての祭りに登場する「ワイルドマン」たちを撮影した写真集である。それにしてもじつに不思議だ。「なまはげ」も含め、なぜ北国の冬はこのような存在を必要とするのだろうか。
160点の写真に収められている衣装をそれぞれじつに個性的だが、全体を見渡すとどこか同じ匂いがする。毛皮、つの、仮面、ベル、麦わら、袋。使われている材料は類似性があるのだが、完成した姿はそれぞれに違う。それでいて、北国の冬であることは背景を見なくても判るのだからやはり不思議だ。
2000年前、カエサルに率いられたローマ軍団はガリアで彼らを見たのだろうか。ヨーロッパの子供たちは彼らを恐れるのだろうか。黒く塗られた顔、骸骨の仮面、竹馬、芋のビーズ、頭が木の箱の牛。もし、暖炉があるのなら、サイドテーブルに備え付けておきたい素晴らしい一冊だ。
シュナップフィーシェ(イタリア)
ホアントランポソ(スペイン)
ソヴァージュ(スイス)
カルト(ポルトガル)
クランプス(オーストリア)