あけましておめでとうございます。2014年も書店員のこれから売る本をよろしくお願いします。1月はこれと思う新刊があまり多くありません。なので、今月は年末に発売されて、個人的に猛プッシュしている商品を中心に、今年ヒットしそうな本を、これから発売する本も交えて、いくつか紹介したいと思います。
まずは、つい先日発売になったばかりの新刊です。『ストーリーとしての競争戦略』の楠木建さんが解説を書いているということで、これは売れそうな匂いがぷんぷんしています。まだ途中までしか読んでいないのですが、これがすこぶるおもしろいのです。
人間にはギバー、テイカー、マッチャーという3つのタイプがいるそうです。ギバーは人に惜しみなく与える人。テイカーは真っ先に自分の利益を優先させる人。マッチャーは損得のバランスを考える人。多くの人はたぶんマッチャーなんだと思います。自分はギバーだなという人は、たぶんぎばーではありません。あなたはテイカーです。笑
この中で一番成功している人が多いのはギバーなんだそうです。ただ逆に一番失敗している人が多いのもギバーであるというのがおもしろいところ。その差はどこから出てくるのか?それはきっとこの本を読めばわかるはずです。
またテイカーの人も出世はするようですが、出世する間に敵をつくることが多いので、ギバーに比べると大成功をしている人は少ないようです。また注意しなくてはいけないのはテイカーの人も自分の利益になるというときには、ギバーのように率先して人に物を与えるのだそうです。ギバーだと思っていたあの人が実はテイカーだった。そんな事例も本に書かれています。自分の周りの人に対しては常にギバーでありたいとこの本を読んで思いました。
先日、レビューも書きましたが、いま一番売りたいと思っているのがこの本です。昨年末に読んでものすごい影響を受けています。この本を読んで、今年の目標のひとつは「他人の期待には応えない」というものにしようと思っています。自己啓発の新しい古典。ぜひ読んでみてください。内容はレビューを参照してもらえると嬉しいです。この本の横には瀧本哲史さんの『君たちに友だちはいらない』やジョン・キムさんの『媚びない人生』を展開したいところです。
『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』という本が昨年ものすごく売れました。マッキンゼー、ゴールドマン・サックス、ハーバードと、詰め込みすぎだろうと思うような、キーワードが多くの人に響いたのか、いまもその勢いは留まることを知りません。そのヒットを受けて今年は“世界”の”エリート”という言葉がついた本がたくさん発売されるような気がしています。
なので、この本のタイトルをみたときは二番煎じじゃないの?という先入観があったのですが、東洋経済オンラインで人気No.1のコラム「グローバルエリートはみた」を書いている著者のものということで、二匹目のドジョウを狙った本ではなく、しっかりした内容の本になっている模様です。世界のトップエリートには7つの共通の項目があるそう。いったいどんな共通項なんでしょうか?気になります。
アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスの生い立ちから現在に至るまでを追った物語。アマゾンの創業の話は『ワンクリック』という本に詳しく書かれていますが、(『ワンクリック』のレビューはこちら)こちらは直近のことまで、そこまで書いていいのか?と思うくらい詳細に書かれています。
創業から利益のほとんどを会社への投資に回しているというアマゾンの成長戦略や、ベゾスのハートの強さやえげつなさなど。どれも読んでいてとても興味深いです。スティーブ・ジョブズ亡き今、一番注目すべき経営者の評伝。これは必読です。(HONZのワンコイン広告はこちら)
今回紹介する本の中で、唯一まだ発売されていな本がこちら。成功をするには一つのことに集中することが大事!といった内容の本です。企業もそうですが、一つのことが軌道に乗ると、ついつい他のことにも手を出したくなるもの。でもだいたいそういうものって、うまくいかないことが多いんですよね。
逆にV字回復を成し遂げたような企業というのは、原点に立ち返って、一つのことに集中することで成功しているような気がします。ジョブズがアップルに戻ってきて最初にしたことも1つのことに集中することでした。
これは企業だけでなく、人にもいえることかもしれません。ゼネラリストよりもスペシャリストという話を最近よく目にします。それも根底にある考え方は同じような気がします。1点集中。ワンシング。シンプルなタイトルも目を引くので、どのように動くか楽しみな1冊です。
最後に紹介する本は装丁がとてもおもしろいんです。カバーが1枚の紙を折って出来ています。帯のようにみえる黒いところは実はカバーの裏面です。と言葉で説明してもわかりづらいので、ぜひとも店頭で手にとってみて、カバーを外してみてください。
新しいテクノロジーは世界を劇的に変える計り知れない力を持っているけれど、注意深く使わなければ、暗澹たる未来に行き着き、自由を奪われ、基本的な人間の価値が脅かされることになりかねない。といった内容の警告の書。似たようなことが昨年発売された『機械との競争』でも述べられていました。(私のレビューはこちら)装丁の雰囲気もなんだか似ている気がします。昨年末に発売された『マクロウィキノミクス』もなんとなく、この本の内容に近いのかしら?これらの本をいっしょに並べたらおもしろいかもしれません。
というわけで、今回は12月に発売された本を中心に6冊の本を紹介しました。この中から1冊でも気になる本が見つかったらこれ幸いです。それでは、また来月お会いしましょう。