東えりかさんが、HONZメンバーによる「8月のこれから読む本」をまとめてくれている。
今回も面白そうな本だらけで悔しかったので、これとは別にあらたな本を仕入れたのである。予想してない反撃をされたHONZメンバーの悔しがる姿が目に浮かぶというものだ。愉快である。今回はなぜその本を選んだのかについて少し紹介してみよう。
『リーマン侍 江戸語の世渡り』はタイトルで買った。このタイトルは歌舞伎に馴染のある読者へのゴキブリホイホイだ。弁天小僧の台詞「しらざあ、言って、聞かせやしょう」で有名な、通称「白波五人男」という演目は「青砥稿花紅彩画」というふうに文字で書き、その読みは「あおとぞうし はなの にしきえ」なのだ。つまり歌舞伎の演目というのは体言止めで5-7、7-7というようなリズム刻むのだ。
『ぼくはどんなふうに生きるのだろうか』は著者の経歴で買った。1996年 慶応義塾大学理工学部大学院計算機科学専攻 博士号を取得。2002年 遺伝子解析のベンチャー企業であるHuBit Genomix社にて疾患関連解析の研究開発に従事。2006年 Stanford大学客員研究員としてバイオインフォマティクスの研究開発に従事。現在、理研ジェネシス社にて研究開発に従事し、2010年よりJSTさきがけの大挑戦型プロジェクトとしてパーソナルゲノムに関する研究を進めている。
『イスラム飲酒紀行』は紹介文で買った。ブーハ、アニス酒、ベルベルウイスキー、イランの「ドブロク」、ラク、シャハバ・ワイン、アラク…etc.酒を禁じるイスラム圏でも、これだけの地酒が存在する―イスラム圏における飲酒事情を描いた“爆笑”ルポルタージュ。
『肥満は進化の産物か?』は書評が書きやすいのではないかと思って買った。じつはいま糖質制限ダイエット中なのである。半月で3キロ落とせたし、体調もすこぶる良い。もし、本書が面白ければ、その体験を導入部に持ってこれると踏んだのだ。
『京の公家と武家』は価格で買った。750円なのである。Amazonによれはこの商品のサイズは20.6 x 14.8 x 0.4 cm とのことだ。
『南極海ダイナミクスをめぐる地球の不思議』はボクのオールタイムベスト10の一角である『チェンジングブルー』から得た知識を強化してくれるかもしれないと思い買った。「地球全体の海の底を、冷たい水が2千年かけて循環しています。この水は地球全体の気温や降水、さまざまな気象現象に密接に関わっています。温暖化で極域の氷が溶けると、海水位の上昇だけでなく、海洋の循環も止まってしまう可能性があり、そうなると地球規模の気候変動が起きてしまいます」とのこと。
『ナポレオンのエジプト』はタッシェン25周年記念のウルトラお買い得図録『ナポレオンエジプト誌』の解説版として買った。本書は読んでみなければわからないが、タッシェンの図録はとんでもないお買い得なのだ。もう絶版だけどね。
『写真・ポスターに見るナチス宣伝術』HONZ食客のハマザキカクの共産趣味者に触発されて買った。全体主義のアートはその主張の如何を問わず、アートの1分野として独立して存在していると思う。
『知っておきたい100の木』はアマゾン・レビュアーのコメントを見て買った。トイレにおいておきたい本だとのこと。いまわが家のトイレには『色』『キリスト教美術辞典』『江戸の用語辞典』『広辞苑の中の掘り出し日本語』が装備されている。
『ガロワ正伝』は書き下ろしなのだろうか。文庫にしてこのなんともシュールな表紙デザイン。そもそもガロアのファンだからつい買ってしまうのだが、価格はなんと1260円である。じつのところ、同時に到着したら真っ先に読みたい本である。
『砂』はそれだけでロマンである。もうタイトルだけで買ったのであるが、じつは本書は米国自然史博物館のジョン・バロウズ賞受賞を受賞しているのだ。予断してはいけないのだが、おそらく8月のナンバー3に入る本であろう。