「HONZ」が始まって半月経った。訪問者数も日を追うごとに増え、うれしい限りである。そこで8月の定例会は今後の相談なども含めて初の合宿。一晩、本について語り明かそうという試みである。
食事は料理研究家の土屋さんと不肖・ワタクシが担当し、お酒は成毛さんの提供。すばらしいことにメンバー全部が酒好き。「酒と薔薇の日々」ならぬ「酒と本の一夜」と相成った。
直前に奥さんの妊娠が発覚した人あり、仕事で貫徹した人ありと、集合する時間がバラバラになってしまったので全員顔を揃えた段階ですでに出来上がっている人もいて、テンションが同じになったのは結構夜も更けてからだった。
本格的に酔っ払う前に今月の各自のオススメ本を出す。そろそろみんなのカラーが出てきて面白い。(敬称略)
鈴木葉月
これが見納め―― 絶滅危惧の生きものたち、最後の光景 (2011/07/23) ダグラ ス・アダムス、マーク・カーワディン 他 |
この本はワタシも推薦。著者が今でも根強い人気のSF『銀河ヒッチハイクガイド』のダグラス・アダムス。彼が地球上の絶滅危惧種を見に行くというネイチャールポ。1990年に刊行されたものの初翻訳。
ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになった理由 (2011/07/29) ジョシュア・フォア |
乗りたい!知りたい!新幹線(文庫) (アスペクト文庫) (2011/07/05) 恵 知仁 |
お子さんと一緒に楽しめそう。
ハマザキカク
あなたはこの本を知っていますか〈No.27〉―地方・小出版流通センター取扱い’10図書目録 (2011/07) 地方小出版流通センター |
HONZのコンテンツで驚異的な情報収集法を披露したハマザキさん。さすが。
日ソ中立条約の虚構 (2011/02/25) 工藤美知尋 |
地図でみるアフリカ系アメリカ人の歴史―大西洋奴隷貿易から20世紀まで― (2011/04/08) ジョナサン アール |
大リーグのチーム別黒人率とか湾岸戦争に派遣された黒人の数とか、先月『HAPA』をオススメした人らしいラインナップ。
土屋敦
植民地を謳う: シャンソンが煽った「魔性の楽園」幻想 (2011/07/28) 猪俣 良 樹 |
フランスのシャンソンが、植民地についてどのように歌っていたかを考察した本。曲の題名が凄い。「あの子は人食い女」とか「ホッテントットビーナス」とか。聞いてみたいなあ。
偏愛的数学 I 驚異の数 (2011/07/28) アルフレッド・S.ポザマンティエ、イングマール・レーマン 他 |
哲人たちはいかにして色欲と闘ってきたのか (2011/07/01) サイモン・ブラックバーン |
新井文月
外邦図――帝国日本のアジア地図 (中公新書) (2011/07/22) 小林 茂 |
日本が侵略するために作った地図。これは興味深い。
天空の帝国インカ (PHP新書) (2011/07/16) 山本 紀夫 |
ジャズと言えばピアノトリオ (光文社新書) (2011/07/15) 杉田 宏樹 |
東えりか
超常現象を科学にした男――J.B.ラインの挑戦 (2011/06/30) ステイシー・ホーン |
ワタシには一ミリもないけれど、あったらいいなという超能力。実はメンバーのなかでひとりスプーン曲げの出来る人がいた。真夜中、はじめて目の前でみせてもらったがびっくり!何なのその力?
究極のクロマグロ完全養殖物語 (2011/07/16) 熊井 英水 |
近畿大学水産研究所の苦闘の記録。ワタシはこの手の話が好き。
これが見納め―― 絶滅危惧の生きものたち、最後の光景 (2011/07/23) ダグラ ス・アダムス、マーク・カーワディン 他 |
成毛眞
ニューヨーク地下都市の歴史 (2011/07) ジュリア ソリス |
世の中には地下マニアが結構多く存在する。垂涎の一冊。
毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962 (2011/07/23) フランク・ディケーター |
ヌードルの文化史 (2011/07) クリストフ ナイハード |
食べ物の歴史や国ごとの違いは、興味を持つ人が多い。本書を持ってきたのは他にふたり。
今回の一番人気。
村上浩
先週結婚披露宴を終えたばかりの村上さん。HONZメンバーにめでたい事が続いている。
くいもの 食の語源と博物誌 (2011/07/20) 小林祥次郎 |
東大夢教授 (2011/07/27) 遠藤 秀紀 |
この先生、動物の骨の専門家でユニークで興味深い本を出している。
形態の生命誌―なぜ生物にカタチがあるのか (新潮選書) (2011/07) 長沼 毅 |
メンバーの中で注目度がたかい長沼毅先生の新刊。
久保洋介
今回でオーストラリアに転勤になる久保さん。定例会の出席はしばらくないが、本の紹介は続けてもらう。
エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書 356) (2011/07/07) 石井 彰 |
まさにいま旬の本
気候工学入門―新たな温暖化対策ジオエンジニアリング (2011/05) 杉山 昌広 |
パンツを脱ぐ勇気 (2011/07/23) 児玉教仁 |
ハーバード留学記。知り合いが載っていたとか。
山本尚毅
躍進する新興国の科学技術 (ディスカヴァーサイエンス) (2011/05/21) 科学技術振 興機構 研究開発戦略センター 海外動向ユニット |
アフリカ人の悪口 (2011/05) 吉國 かづこ |
今回、一番みんなの興味を引いた本。新刊情報通のハマザキカクさんも知らなかった注目本。
チェ・ゲバラ 最後の真実 (2011/07/22) レヒナルド ウスタリス アルセ |
高村和久
ヌードルの文化史 (2011/07) クリストフ ナイハード |
水が世界を支配する (2011/07/26) スティーブン ソロモン |
脱皮コレクション (2011/06/29) 岡島 秀治、 他 |
この本は書店で目を引く。脱皮する動物は、いったいどこから割れるのか。爬虫類が苦手ない人は見られないな。
栗下直也
酔っ払いがここでようやく復活。トリを務めてもらう。
珍日本超老伝 (ちくま文庫) (2011/07/08) 都築 響一 |
これはワタシも大注目。先日の投稿でも推薦した一冊。
新装版 画文集 炭鉱に生きる 地の底の人生記録 (2011/07/29) 山本 作兵衛 |
先日世界記憶遺産に選ばれた山本作兵衛画集。緻密さに驚く。
セクハラの誕生: 日本上陸から現在まで (2011/06/22) 原山 擁平 |
『人妻』本のあとは『セクハラ』か?
いつもは2時間の時間制限付きなので駆け足だが、今回はあっちこっち脱線しまくりの討論会。飲みながらやると長くなるね。しかし楽しい夜でした。
そして、本のはなしは真夜中まで続いたのでした。
というわけで8月の課題本は3人が持ってきた『ヌードルの文化史』
ヌードルの文化史 (2011/07) クリストフ ナイハード |
少々お高い本なので、まずは書店や図書館で内容を確認してみてください。
夏休みのお供をHONZの推薦本でみつけてくださるとうれしいです