旅行へ行きたい!
HONZをご覧の皆さま、突然の心の叫びをお許し下さい。最近、『北海道』『沖縄』『伊勢』『バリ』といった、地図ガイドが良く売れている。お一人でご購入いただく場合は、あまり気にならない。問題は、お二人で旅行が楽しみで仕方ないといった感じで会話をしている場合である。「楽しんできてくださいね」とお伝えする傍ら、心の奥には、「いいなぁ。いいなぁ」なんて言葉が浮かんでいるのである。そして、上記の叫びへと戻る。
羨ましがっていても仕方ないので、今回は、旅行に行った気になる本たちをご紹介したい。ご一緒に脳内旅行へと、いざ出発!
興味のある芸術家がいつ出展しているか、どう見ていけば良いかということが分かりやすく記載されている。船から見える海、島の空気、文化、出会う人々を想像し、眩い日差しを身体一杯に感じる中で、芸術と向き合うのである。五感が開放されるのではないかと思ったりする。芸術を味わった後の、読書。最高である。
日本の島々を巡った後は、日本全国を巡ってみたいと思う。
8月上旬発売予定の『日本全国もっと津々うりゃうりゃ』 宮田珠己。『スットコランド日記』を読んで以来、好きな作家さんである。ご自身が旅行に行きたいからという思いで実現したエッセイ集。宮田さんのお人柄がにじみでる本である。旅の気分を味あわせてくれる上、「人生を楽しむとは、こういうことか!」そう気づかされること間違いなし。
全国を巡るなら、この本を連れていきたい。
本屋を愛し、本を愛し、人が大好きな方々が一生懸命作り上げた一冊。私は、本屋が誰かにとっての第二の家であって欲しいと常に思いながら仕事をしている。寂しい時や辛い時に、ふっと本屋さんに行くことで、また気持ちを立て直せる場であって欲しいと思うからだ。とても共感でき、安心感をくれる本である。『本屋図鑑』は、47都道府県から一店舗は必ず紹介しており、挿絵も、細かく愛情を込めて描かれている。つまり、全国を旅しながら本屋さん巡りも出来る。「本に載っていたね」と店主さんとの会話を楽しめたら、さらに幸せだと思う。
京都の本屋さんが魅力的だと、色んな人から聞く。一度しか行ったことがない京都。本屋さん巡りをしながら旅をしてみたい。京都では色んなイベントが催されているらしいので、いつどこへ行けばいいか迷う。そんなときに便利なのが、『きょうの京都』。予定している日時の場所を開けば、何の催事があるのか一目瞭然。京都マスター(?)になれるのである。紅葉の時期に行ってみたい。素晴らしいのだろうな。
島国日本のビッグニュース。富士山、世界遺産登録されましたね。以前より富士山に限らず、世界の山々へ登っている野口健さんの写真集が気になっている。「生」を表現する美しい写真が数多くある中で、人間が逃れることの出来ない胸に迫る写真も載っているからだ。『写真集 野口健が見た世界 INTO the WORLD 』命の尊さ、生きている尊さに圧倒される本である。
日本国内そして海外を旅行することで価値観が変化し続ける。凝り固まってしまった考え方に変化が生まれ、広い視野で物事を捉えられるようになる。自分自身が持つ全てで感じ取ったものを、お店作りへと反映していきたい。私がまだ小さいとき、母が伝えてくれた大事なこと。
「自分の人生で出逢える人や事柄は限られている。本を読むことは、他者が出逢った人や事柄に会わせてもらえることになるのよ。」
この言葉は、どこにいても、何をしていても、ずっと私の心に残り続けるだろう。いつでも、「おかえりなさい」と言ってくれる、母や家族の居る場所が、私の旅の終着点になるのだ。
脳内旅行、楽しんでいただけたなら幸いです。また、来月お会いできますことを願って。ありがとうございました。
髙橋佐和子
1982年、AB型。埼玉県にて育つ。
大手書店、街の書店を経て、2012年11月オープニングスタッフとして現書店で働く。
地図ガイド・児童書・文庫のお手伝いをしているが、文芸をこよなく愛するアルバイト。本と同じくらい愛しているのは吐息が出るほどの美味しい日本酒。
【山下書店南行徳店】
〒272-0138 千葉県市川市南行徳1-16-1
TEL 047-314-5898 FAX 047-307-8977