とんでもない本が出たものだ。「開運!なんでも鑑定団」に出せば、そら恐ろしい鑑定額がつきそうな古い週刊誌を1冊にまとめた本である。古い週刊誌といっても19世紀末にフランスで発行されたA4・4ページの冊子だ。この雑誌は469号まで発行されたが、そのすべてに日本語解説を付け加えて収録したのだ。世界初だという。その週刊誌の名前を『今日の人々』という。
30年ほどまえに著者の鹿島茂氏がパリの古書店でたまたま見つけて支払ったのは21万円。それでもあまりに安いので耳を疑ったのだという。道行く人たちを片端から捕まえて「手に入れたぞ!」と叫びたい気分だったという。ご本人は気づいていないだけで、たぶん叫んでいたのであろう。
469人の『(当時の)今日の(フランスの)人々』のNo.1はビクトル・ユゴー。言わずと知れた『レ・ミゼラブル』の作家だ。竪琴を突き立てた地球に乗っている戯画、すなわちカリカチュアで表現されている。83歳で亡くなったときには国葬で送られたのだという。No.4はエミール・ゾラ。ボクが判るのはこのあたりまでである。
作家、政治家、シャンソニエ、ジャーナリスト、実業家、弁護士、王(ヴィルヘルム1世)、画家、作曲家、詩人、出版人、探検家、文学者、編集者、ピアニスト、軍人、俳優、歴史家、生理学者、化学者、社会主義者、劇作家、医師、批評家、企業家、プロモーターなどが取り上げられており、19世紀フランスの人物事典として、明るい日本の家庭に一冊あれば事足りるであろう。ともあれ、このレビューじゃあぜんぜん判らない、本書は一体なんなのか、を知りたい方のためにイベント情報を付け加えておこう。これこそが新刊超速レビューの本領である。
◆『カリカチュアでよむ19世紀末フランス人物事典』刊行記念/鹿島茂氏×倉方健作氏トークイベント
フランス史の中でもとびきり人材が豊富な19世紀末。『カリカチュアでよむ19世紀末フランス人物事典』から、日本ではあまり知られていないけれども、重要かつ興味深い人物をとりあげ、ご紹介します。スライドをご覧いただきながらカリカチュアをよみといていきますので、当時の世情が生き生きとよみがえります。初夏の夕ぐれ、つかのまの19世紀末パリをお楽しみください。
■日時:2013年6月12日(水)18:00~20:00(開場17:30 トーク&質疑応答1時間30分、サイン会30分)
■会場:東京堂書店神田神保町店6階東京堂ホール
参加方法:参加費500円(要予約)店頭または電話TEL 03-3291-5181にて、件名「鹿島さん倉方さんイベント参加希望」とお申し出いただき、お名前・電話番号・参加人数をお知らせ下さい。※当日15:30より1階総合カウンターにて受付を行います。
東京堂書店「最新情報/イベント情報」http://www.tokyodoshoten.co.jp/blog/?p=4968