面白い本を紹介することが本ブログの目的。自分自身ビジネスマンだが、ビジネスマンたちが日ごろあまり手にしない本をここでお勧めする予定(月に2回程度アップデート)。
一人前の「本のキュレーター」になれるよう今年1年間成毛眞さんの勉強会で勉強させてもらう。
2010年に読んだ新刊本おすすめトップ10は下記の通り。今年は残念ながら突出した本に出合えなかったので、トップ1の選定はしていない。順不同。
『僕はいかにして指揮者になったのか』『数字で世界を操る巨人たち』『冬のライオン』『美墓』『地下の秘密』『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』『民主主義がアフリカ経済を殺す』『哲学する赤ちゃん』『市川海老蔵』『クジラと海とぼく』
下記の作品は将来自分の娘に読ませたい本。書評と一緒に。
子どもを将来クジラやイルカの専門家にさせたい大人にとって、本書は即買いものだ。
2010年、クジラ学の世界ではビッグニュースが続出した。例えば6月にはデンマークで140年近く生きていたクジラが発見され、クジラは事実上地球で最も寿命の長い哺乳類であることが判明。もしかするとクジラのDNAを活用して人類は長寿社会へ突入するかもしれない。捕鯨問題よりも、子どもにクジラの生態や知能を知らせてあげた方がよほど将来のためになる。
クジラに興味を持った子どもや大人にとって最適の導入本が本書だ。著者は、2年間休学した後に京都大学を卒業し、出版社で社会科学や人文科学系の編集者として働き、その後海洋写真家として独立。以降30年以上にわたって世界中でクジラの撮影・観察を続けている大のクジラマニアである。本書では、クジラはなぜ人間や船に近寄ってくることがあるのか、著者はなぜクジラの写真をとるようになったか等を少年少女にも分かりやすく書いている。ザトウクジラの絵が描かれている装丁や挿絵の多さも子どもにとって魅力的だ。子どもの前でこれ見よがしに読めば寄ってくるだろう。
本書の「はじめてのホエール・ウォッチング」という章は特に面白かった。筆者が初めてクジラを生で見た時の感動が詳細に描かれており、著者が編集者を辞めてまで海洋写真家になった理由が良く分かる。知的好奇心はいつの時代も人を変えてしまうのである。
少し残念なのは、本書では最新の研究や理論があまり紹介されていないことだ。さらに突っ込んだ知識を得たい人は同じ著者の『クジラ・イルカ大百科』を合わせて読むと良い。