かつてボクは椎名誠編集の『本の雑誌』を第1号から買っていた。創刊はボクが大学2年の時だったと思う。じつは一回だけ読者欄に投稿したことがある。「本そのものの書評も良いけれど、帯の評論も面白いと思う」という内容だった。そのまま第3号に掲載された。編集長から「成毛さん、そりゃ面白い。一緒にやりましょうよ」と、その投稿にコメントがついていた。もし、それに応えていたら間違いなく「本の雑誌社」に就職(助っ人)していたような気がする。ぜんぜん違う人生になっただろう。まちがいなく「東ケト会」には入っていたな。
さて、本書はその椎名誠の4冊目の岩波新書「本の本」だ。16章に分けて面白本を面白く紹介している。博物誌、旅、風、言葉、クソ、未来などに分けて、エッセイ仕立てで本を紹介していく。この軽妙さはプロの業だ。
本書に掲載されている本で、ボクも良いと思った本が何点かある。全部ではないけれど紹介してみよう。
『さまよえる湖』ロプノールだ。じっさい、現地に行ってみたことがあるほどだ。
『イブの7人の娘たち』ミトコンドリア・イブ仮説の本。案外、固い本だった記憶がある。
『口のきき方』ヘンテコ若者言葉の本。北海道出身者としては不思議な気がする。
『カワウソと暮らす』カワウソとの友情というか、とんでもなく美しい自然。
『地球生活記』地球上のいろいろな家の写真集
本書を読んでいて、これは面白そうだと思った本も何点かある。
『ネパール・チベット珍紀行』やばい。こりゃ、めちゃくちゃ面白そうではないか。
『レナ川 白夜航路4000キロを行く』椎名誠推薦だと、冒険ものが多くなる。
『アマゾン河』もしかしたら読んだことがあるかもしれない。たぶん、読んでるな。
『信じられない航海』椎名誠をしてとんでもない冒険譚というのだから、すごいにちがいない。
『九龍城探訪』大判の写真集だ。怖いもの見たさだ。
で、この5冊はもうアマゾンに発注した。1円から5000円まで、すべて絶版だった。