初版は2006年12月なのだが、先週末に吉祥寺の書店で見つけた本は2008年6月で第6刷だった。100ページ弱の衛星写真集なのだが売れているらしい。掲載されている写真は1990年代にLandsat/TMやTerra/ASTERの衛星画像データをコンピュータで処理して作られたものだ。コンピュータ処理といっても、各種センサーのデータを可視光化し、それをもとに鳥瞰図を作るのだが現在では全てパソコンでできる。
本書は鳥瞰図化にあたって「カシミール3D」というフリーソフトを利用している。「知ってる人は知っている」の典型なのだが、このカシミール3Dというソフトは日本が誇れるソフトウェアであることは間違いない。山岳用のハンディGPS機器に対応しているし、北米の地名データなども提供されている。火星のデータももちろん読み込むことができる。
じつは本書で使っているランドサットのデータはメリーランド大学のサイトで無償で公開されている。カシミール3Dを使うとこの写真集に匹敵した画像を自分で作ることができるのだ。しかし、それでは面倒だという人のために本書は最適だ。
1枚目の画像は見開きにすると縦20センチ、横60センチの一枚写真のなかに収まった神奈川県鳥瞰図だ。東京湾上空から遠くは駿河湾、伊豆半島、三浦半島、最も近くには横浜港が見える。東名高速はこのあたりを走ってるんだとか、箱根は火山の噴火口だったんだとか、行ったことのあるゴルフ場とか、やたら見入ってしまう。
東北地方や北海道の画像は妙に旅情をそそるし、名古屋の画像は戦国時代の領地区分を重ね合わせて見てしまう。大阪湾の地図はなぜか津波や高潮被害予想地図に見えてしまった。
じつはこの文章を書くにあたって、グーグルアースを久しぶりに覗いてしまった。あっというまに半日が過ぎてしまった。SkyやらF-16によるフライトシミュレータやらが追加されているのに気づいた。面白すぎだが「砂時計」がでまくる。そういえば、15年ほど前のこと、ウィンドウズ95のユーザーからのクレームで「画面に臼が出てきて止まってしまう」というのがあった。