コメントにも記したのだが、これからハードSFを読んでみようと思われる方にはこの2冊がお勧めだ。『竜の卵』の著者は物理学者でもある。地球の生命体は炭素を核としているが、理論的には元素周期表で炭素の真下にあたるシリコンを核としても生命体は形成される可能性がある。ボクも宇宙のどこかにはそのような生命体がいると思っている。
驚いたことに『竜の卵』の著者は、中性子を核とした生命体をこしらえたのだ。もちろん彼らは中性子星の地表上に存在することになる。読めば理解できるのだが、当然のことながら中性子星での時間は地球からみると相対論の効果で速く進み、進化はとてつもなく早く見えるはずだ。本書はその生命体を抱えた中性子星が、もし地球の近傍をとおりすぎたらどうなるかという思考実験であり小説なのだ。
『星を継ぐもの』は人類そのものにまつわる壮大な謎ときだ。もちろん完全な作り話なのだが、登場人物の科学者たちが繰り返し行う、仮説と検証のプロセスが心地よく感じるはずだ。もしかして科学のプロセスを学習するのに最も良いテキストの一つかもしれない。