本書の副題は「絶滅も進化も酸素濃度が決めた」である。こちらを書名にしたほうが売れ行きが良かったと思う。
本書によれば、化石記録に動物が出現しはじめたカンブリア紀大爆発、9割の生物が死滅したペルム紀の大絶滅、ジュラ紀の恐竜跋扈、という地球規模の生物圏大変動はすべて酸素濃度の変化によって引き起こされたものらしい。
恐竜とおなじ呼吸システム、すなわち気嚢をもつ鳥類が8000メートルというヒマラヤを超えることができる理由がここにある。はるか太古、酸素濃度が低かった時代の記憶が鳥類の体に刻み込まれているのだ。
この酸素濃度の大変動は大陸が移動することで周期的に起こるらしい。すなわち陸地が一つの超大陸に再編されたときに酸素濃度は低下する。いまから2億5千万年先に起こる必然だ。
そのとき、わが子孫はどうなっているのだろう。鳥類の遺伝子を組み込んでペガサスのようになって生き残っているのだろうか-じつはペガサスは羽の生えた馬なんだけどね。