爆弾低気圧が日本中を大騒動にした翌日は、HONZ4月の定例朝会。
いつにも増して眠そうな山本尚毅とエレベーターが一緒になった。「昨日、大阪から帰れなかったんっすよ」それじゃなくてもミャンマー行ったり巌流島行ったりして忙しそうなのに、大変だよなあ、と思ったら、きっちりレビューをそれも2本も上げていた。いやはや、頭が下がる。
今日はオブザーバーは成毛の本の編集関係者がふたり。
新規にHONZのメンバーになったのは、大阪大学教授の仲野徹と新潮社の足立真穂。3月の例会に参加して、すっかり虜になったらしい。仲野先生はスカイプで参戦することになっていたのだが、来てみてわかった。誰もアクセスできないじゃない!
大慌てでメールすると「インストールしただけで何もやっていない」との返事。思わず全員前のめりに倒れるが、そこは編集長の土屋敦が『白い死神』ばりの冷静さで対処し、画面には無事、にこやかに手を振る仲野先生登場。ただし、土屋のPCの状況が不安定でときどき固まってしまうのだが、ヨシモト芸人のキメ顔のような絶妙なタイミングでフリーズするのが不思議だ。
スカイプ同士、大阪とオーストラリアとの対面も終わっていよいよ「今月読む本」の開始。
まずは仕事の都合で早退する高村和久。
ここ最近、こういう近未来の本がたくさん出てるよね、と成毛。
確かに多く出ているかもしれないが、HONZのメンバーが好んで紹介するからなのかもしれない
NHKの番組を3巻本にしたもの。それぞれの時代に応じた子どものころの記憶。数年ちがっただけで、町が隣なだけで、見ている風景が全く違う。
今でも熱く繰り広げられる議論の最前線。決着点はどこなのだろう。
先月はイギリスへ出張中していた村上浩。お久しぶり。
あああ、とため息をついたのは内藤順。実はこのふたり、趣味が似ているのかとてもカブる率が高い。『水平記』など被差別関係に詳しいノンフィクション作家高山文彦の新刊。
「そりゃ、何?」って人と、「ゲーデルは理解したいよね」という人、真っ二つ。わかりたいと思う人は是非。
村上は30代だが鶴亀算を知らないという。え、植木算とか旅人算とか知らないの?小学校で習ったでしょう?と行っても賛同が得られなかった。いつから教えなくなったんだろう?
顎鬚を蓄え、賢者のような風貌になりつつある山本尚毅。
ビンラディン亡き後、次に台頭してくるのは何か。
17世紀、科学革命はどのように起こったのか。綿密に調べられた一冊。みすず書房の本でこの値段なら仕方ないね、と一同納得。
東南アジア研究で有名なベネディクト・アンダーソンの新刊。今回の山本は気合が入った高価な本が多い。
先日のピダハン奪取でHONZメンバーの多くを敵に回した内藤順。
写真、指紋、知能テストという副題にあるように科学技術によって選別される、ということについて。
パソコンやオーディオとは違う生活に密着した電化製品について。
シベリアの入門書だそうだ。内藤がトナカイに興味があるとは思えないのだけど。
祝、息子さん誕生の新井文月
(子どもの名前は弥生か!というヤジあり。違うそうです)
予想通り何人かダブっている。数年前の芸術新潮で大評判になった特集を書籍化。
あそこの曖昧模っ糊りの謎に迫る。糊?
本当に東ドイツ生まれの著者(NHKドイツ語講座講師)のよかった時代について。
著者が日本人なのに驚く。大剣や小刀、体術などを図示している。今回、私は一番欲しいと思った本。膝カックンという技があるのには笑った。
PCを向かい合わせにして仲野先生との挨拶を済ませた久保洋介
江戸時代の職業斡旋。30種類ほどが紹介されていて、美しい浴衣姿の女性が供してくれる麦茶屋、なんて現代と変わらないね。
学生時代に専攻していたことに大変近いんだそうだ。
幕末から昭和までの実業家12名。有名どころから注目されるべき人までを網羅。
大阪からスカイプで参加の仲野徹。ピダハンが取られたことを相当悔しがっている。
UMAを探して世界中を行く、高野秀行らしい一味違ったブータン本。
江夏豊が語る「エースの資格」。そりゃ大阪人なら読まないわけにはいかないでしょ。
最近流行の城マニアが全国各地の城を訪ねたときに、印をしていくいわゆるご朱印帳みたいなものか?
夕べの化粧も取らずに朝までレビューを書いていたという麻木久仁子
脱原発のために火力発電を推進するには、CO2問題を解決しなければならない。その基礎知識のためのガイド。
最近のタレント洗脳問題にしても、トンデモ科学問題にしても真っ向から意見を言う芸能人があまりにも少ない。その数少ないひとり。笑って勉強になる一冊。
麻木が大好き、吉川弘文館。遊郭やら子減らしやら奉公やら、日本の身売りについて考察した本。
自分の知らない本が世の中にこんなにあるのか、と驚嘆したという足立真穂
ケセン語訳した聖書から抜き出した一冊だが、元のケセン語聖書の出版社は、先の津波で流されてしまったのだそうだ。しかし聖書だけは、箱にきちんと入って助かったとか。
現在「お水潜りの聖書」として人気を呼んでいるそうな。
インフルエンザも完治し、爽やかな土屋敦
古語を現代語にする辞典は当たり前だが、現代語を古語にするという画期的な一冊。
内容はともかく、帯裏の一言が強烈「読まぬは一生の損」今月の帯大賞(って初めてです)
かつてご家庭にあった様々な生活関連の本を紹介。図が一切なく、言葉だけで教えるマンボの踊り方とか。
取材が忙しく久しぶりの登場の栗下直也。彼も先月パパになった。
去年はメイドブームだったので今年は女中が来る!と熱く語ったあと、仲野から「ちょい読みでおくったでぇ~」の声。センセイ、もうちょっと早く言ってください。
銀行の担当になりたいとアピールしていたようだが、4月1日の異動は叶わなかった。銀行員はなぜ客を怒らすのか、などの謎を解く。麻木が鋭く反応し「それは是非知りたいわ!」とのこと。
『世界屠畜紀行』の内澤旬子の新刊。そういえば誰も紹介してなかったなあ。自分で飼って自分で食べる、という豚飼いの原点のような一冊。
昨日の爆弾低気圧に恐れをなし、書店に行けなかった私東えりか
いつ何時、仮設住宅のお世話になるかわからない今、できるだけ快適に過ごしたい。中越地震をきっかけに新潟大学工学部がまとめた一冊。
脱力系ノンフィクションの第一人者の、いつにも増して力の抜けきった紀行集。思わぬところで吹きだすので、人前では読まないでください。
在日40年のイギリス人女性が、阪神大震災、東日本大震災を通してみた日本の保護動物の実態。
相変わらず布袋さんみたいな袋に本をいっぱい詰めて登場の鈴木葉月。
これは誰一人としてチェックしてなかった本。『マネーボール』の日本版で、日本のプロ野球チームを実践的、戦略的に分析した本。野球ファン必見。中畑監督に送ってあげたい。
女心を理解するためか?
成毛も持ってきていた本で、人間より大きなぞわぞわするムシを想像していた。ひゃー!
爆弾低気圧もなんのその、風が強くなる前にゴルフを楽しんでいた成毛眞。
ジョン・レノンをはじめとする大スターの子どもたちを取材する。
ポップでかわいい装丁に騙されそうだが、実はかなり専門的。匂いの科学も面白い。
鳥取環境大学の小林朋道ゼミの5冊目。この大学なら入りなおしたい。
さてここで一巡目。カブった本も多いけど、それぞれ個性的なものを選んできたなという印象だ。ここのところ、ガッツリしたレビューが続いているので、少し脱力系の紹介をしていきたいと個人的には思う。
というわけで、学生の推薦と+αの「今月読む本 その2」は土日の深夜にでも更新します。
春眠暁を覚えず、とはいうものの読書にはいい季節になってきましたよ。