本書が最初に出版されたのは昭和49年。本書は改版新刊だ。昭和49年といえば1974年だから、その年生まれの人は現在37歳だ。しかし、御所ことばがその37年間で変化したことなどないであろうから、新刊として読むことができるはず。御所ことばで思い起こすのは「豆腐」のことを「オカベ」、「鯉」のことを「コモジ」など特殊名詞だ。本書の後半はその語彙集なのだが、前半のインタビューなどが面白い。第2章は穂穙元権内侍(ほずみゴンナイジって読むんだろうな)さんへの昭和34年のインタビュー。ちなみに穂穙元権内侍さんは穂穙俊香男爵の3女で従六位で本官になったという。穂穙俊香男爵は殿掌として京都御所にお勤めした。穂穙家は勧修寺家の分家だそうだ。なにがなんだかわからないがボーっとしてしまう。このインタビューのなかには蹴鞠だの、在原業平だの、ウィンザー公だの、乃木大将の殉死だのの話が日常の現実として語られていてまたまたボーっとする。
ちなみに「陛下へに対する新年のご祝儀申入れ」するときは。
A女官:ご機嫌よう
B女官:ご機嫌よう
C女官:新年おめでとうございます。お揃い遊ばされまして、ご機嫌ようナラシャイますることをおめでとう、かたじけぼう、お悦びもうしいれまする。なお昨年中はだんだんと結構に遊ばされいただきまして、恐れ入ります。本年も相変わらず、おにぎにぎと晴れのゴゼンを済まされまして、幾久しく万々年までも、ご寿命ご長久で天下泰平にあられますように(と、どんどん本文は続く) これまたボーっとする。