いよいよ年の終わりが見えてきました。ここからの季節、年末年始は重厚なノンフィクションの読み時、ということで今年も多くの本が出版されそうです。1月は1年の始まりということで、今後の世界を予測するノンフィクションなどが目立ちました。
は以前話題となった『人口で語る世界史』の著者、ポール・モーランドの新刊です。少子化は政策の影響より個人の思想の影響の方が大きい、高齢化は紛争を減らす。などなど人口にまつわる数字から未来を予測していきます。前著は文庫化されていますので、こちらもどうぞ。
気になる本多数だった12月発売予定の新刊から、いくつかピックアップして紹介していきます。
『がん』『遺伝子』と高い評価を受けてきた医師が送り出す最新作は『細胞』です。細胞からヒト、生命の本質へと迫って来た人類の歩みを描くノンフィクション。
こちらの本は、読書家としても有名なビル・ゲイツが今年の年末年始に読む本として強くオススメしていた1冊でもあります。
『6度目の大絶滅』でピュリッツァー賞を受賞したエリザベス・コルバートの最新作。人間が自然を人工的に操作するテクノロジーに焦点を当て、その影響について考えていきます。人類はすでに多くの自然環境に手を入れていて、その結果気候変動などがもたらされています。さらにその危機解決のためにまた最新テクノロジーでコントロールをしようとしている…というのが今。空にダイヤモンドをまいて地球を冷やすソーラー・ジオエンジニアリングというのがまさに、“青空をなくす”技術というわけ。こちらも全米では各紙絶賛の話題本でした。
著者は小学館ノンフィクション賞の受賞経験もある気鋭のライター。尾身茂、押谷仁、西浦茂といった感染症専門家たちは国家の命運を託され、政権に、世論に翻弄されやがて姿を消していきました。長期取材により描き出された専門家たちの苦闘を描いたドキュメント。
なぜ彼らは消されたのか、そしてコロナとはなんだったのか。忘れてはいけない話です。
事件モノでは今月はこちらを。『黄金州の殺人鬼』を追い詰めた著者が語る「未解決事件」の捜査実録。科学捜査を駆使して、凶悪犯をあぶり出し追い詰めていく著者。まさにリアルなCSI事件簿です。彼が追い続けていた凶悪な犯人、不可解な事件が詳細に語られていきます。
1946年.まだ朝鮮から日本へ海を渡ることはほぼ不可能だった時代。それでも船に乗った人々は「密航」と呼ばれていました。そんな時代に、日本へ「密航」した男とその家族の人生をたどっていくノンフィクション。「その後」を知る子どもたちへのインタビューやわずかな文書を手がかりに彼らの人生を読み解きます。ウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」が書籍になった1冊。
気候問題、人口問題。年々、人を取り巻く環境は厳しくなってきています。そんな中だからこそ、しっかりした知識を持って考え続ける日々を送りたいもの。
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1年の計をしっかり立てるためにも新たな知識を得られる1月にしてください。