9月に入り、カルト宗教関連の本の出版が増えてきています。書店店頭で宗教について考える本のフェアをやっているのもよく見かけるようになりました。興味の高まりを感じる中『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』の予約が伸びています。この他も『「神様」のいる家で育ちました』などに注目が集まっています。
この他2022年9月17日時点の予約受注実績からこの先発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タイトル・発売日等今後変更になる可能性があります)
出版社 | 商品名 | 著者名 | 本体 価格 | 発売予定 年月日 |
小学館 | 『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』 | 鈴木 エイト | 1,600 | 20220926 |
文藝春秋 | 『「神様」のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~』 | 菊池 真理子 | 1,000 | 20221006 |
マガジンハウス | 『天才たちの未来予測図』 | 高橋弘樹 | 1,000 | 20220929 |
KADOKAWA | 『NHKスペシャル 戦争の真実シリーズ3 731部隊の真実』 | NHKスペシャル取材班 | 2,200 | 20221124 |
KADOKAWA | 『揺れる大地を賢く生きる 京大地球科学教授の最終講義』 | 鎌田 浩毅 | 940 | 20221007 |
吉川弘文館 | 『人物で学ぶ日本古代史 2』 | 新古代史の会 | 1,900 | 20220928 |
旬報社 | 『安倍元首相銃撃事件と旧統一教会問題』 | 山口広 | 1,300 | 20220926 |
小学館 | 『逆説の日本史』 | 井沢 元彦 | 1,700 | 20221014 |
日経BP | 『経営者とは 稲盛和夫とその門下生たち』 | 日経トップリーダー | 800 | 20221005 |
集英社 | 『新海誠 国民的アニメ作家の誕生』 | 土居 伸彰 | 900 | 20221017 |
他にも注目本がいっぱい。気になったものをいくつか紹介していきます。
一瞬、花粉症について科学的に迫る本かと思いましたがちょっと違いました。こちらはイギリスで活躍する法生態学者の自伝的な作品です。「法生態学」というのは、花粉や微生物などの自然の痕跡を利用して、殺害場所や時刻の特定を行ったり、死体のありかを探したり、時には犯人の嘘をも見破るのだそうです。
そんな法生態学の第一人者が出会った科学捜査の世界。
原著の発売が22年5月という非常に新しい本が早くも邦訳されます。伝説的ともいえるAppleのデザインチームはスティーブ・ジョブズの死後大変な危機的状況に瀕していました。
クックを後継者に選んだことで収益を劇的に上げたApple、一方で、Appleの天才デザイナージョナサン・アイヴの退社によって、魂を失ったとも言われています。スティーブ・ジョブズ、ティム・クック、ジョナサン・アイヴというAppleを支えた3人を描く話題のノンフィクション。
日本でもすっかりお馴染みになったエマニュエル・トッドの最新刊は人類史です。ホモ・サピエンスの誕生からトランプ登場までの人類史を「家族」という視点で書き換えていきます。これによると実は「核家族」は最も原始的な家族の形態だとか。アングロサクソンが覇権を握った理由を明かす上巻から、下巻では民主制について考えます。
人類史では各紙で絶賛を受けた『ネアンデルタール』も邦訳が発売される予定です。こちらにもご注目を。
この、ウディ・アレンの自伝は2020年に出版が発表されるも、性的虐待の告発や出版に対する意義申し立て、抗議活動の活発化などもあり出版取り消しされるという事態に陥りました。一方で、その措置については反対の声も上がるなど大きなニュースになり、その後出版社を変え発売されるに至っていました。本書はその禍中の書『Apropos of Nothing』の邦訳版です。
この全米騒然のスキャンダルについては昨年刊行された『ウディ・アレン追放』が参考になりそうです。
地球温暖化による異常気象の影響か、世界的に大きな山火事のニュースが続きます。悲劇的な事件である一方で、山火事により、植物は様々な進化を遂げてきた一面もあるそうです。
地球の自然史のなかで、火が果たしてきた役割を論じた科学ノンフィクション。こちらも原著は多くの絶賛を集めている作品です。
国内著者のノンフィクションではこちらを。多くのプロレス関連のノンフィクションを出版してきた著者が、プロレスとテレビの関係に迫る1冊。
力道山の姿を見るために、街頭のテレビに多くの人が群がったという景色はあまりに有名ですが、その黎明期を皮切りに「テレビじゃなければ見られないプロレス」を創り上げたテレビマン達の姿を描きます。
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せっかくの連休ですが、台風直撃という天候になってしまいました。「未曾有の」という言葉が当たり前になりつつある今、気候変動に関する本にも注目しておきたいところです。読書の秋、多くの良書との出会いがありますように。