著者は2015年の「世界コピーライターランキング1位」を獲得したクリエーティブ・ディレクター。レニングラード生まれ、両親の仕事の関係で小学1年から中学3年の間にロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダの6カ国で9回の転校を経験している。4つの言語で教育を受け、学制がちがうため小学校は3回卒業した。
国によって教育方針も方法も、文房具も科目も全部違う。毎回パニックになりそうなカルチャーショックも、6カ国も渡り歩けばさすがに肝も据わってくる。第2章の大人になったナージャの発見は当たり前なのに斬新で、こんな方法で不安を回避できるんだ!とおどろかされた。「ふつう」が一番違っているって面白い。
ミリオンセラー『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』の著者はアメリカのテキサス州生まれで、英語と日本語の完璧なバイリンガルの帰国子女。日本に帰国後、英語を忘れないようにと両親は米軍基地内の小学校へ通わせた。小学校4年のときだ。日本国内にありながら、その学校に日本人は一人もいない。
ここで経験した出来事を綴ったのが本書である。人種、貧困、体力、知力の差はそのままいじめにつながる。1年逃げ出すほどの過酷な体験が世界の多様性なのだろう。
2018年急逝した著者だが、彼の思いを継いで妻が上梓したずしんと胸にくる一冊。
2019年、アフガニスタンで襲撃に会い命を落とした中村哲医師。その功績を追った児童向けのノンフィクションである。大干ばつが起こり、飢餓によって命を落とす住民を助けるため、アフガニスタンに1600もの井戸を掘り全長約25キロメートルの用水路を作った。
現代の日本で中村哲医師という存在を忘れないために、「偉人伝」として子どもたちにぜひ読んでもらいたい本である。
生命とは何か。この大命題を解くための科学最前線では何か行われているのか。「性差」「体内微生物」「単細胞生物の知能」「死のメカニズム」「免疫機構」「老化」「分子心理免疫学」「遺伝子研究による創薬」「タンパク質研究」「こころの広がり」を研究するトップランナーに、理系ライターチーム「チーム・パスカル」の面々がインタビューし、一般の人に理解できるように解説した一冊。理系、とくに生物系や医学系を目指す学生は必読。
自然科学から歴史、文化を包括した新しい大冒険物語を生物学者・福岡伸一博士が初めて書き上げた。動物の言葉を理解するドリトル先生の物語に胸を熱くした大人は多いのではないか?
語り手はもちろんスタビンズくん。ダブダブもガブガブも、ジップもみんな健在だ。なんとドリトル先生とスタビンズくんはチャールズ・ダーウィンに先んじてガラパゴスまで行ってしまう。なぜガラパゴスに行かなきゃならなかったのかの理由と、彼の地の大自然を守るために行ったことは何か。
生物が大好きな人なら、ニヤニヤ嬉しくなってしまう蘊蓄話満載!ああ、楽しかった。