沈静化するかと思われていたコロナ禍でしたが、7月後半から罹患者が急増。身の回りでも「陽性になりました」という報告が当たり前のように聞かれるようになりました。酷暑もあり外出が控えられているのか、出版業界は少し活気づいてきています。7月はどんな本が話題になったのでしょう。
発売と同時に注目を集めているのがこの『ストーリーが世界を滅ぼす――物語があなたの脳を操作する』です。物語、ナラティブ、文脈、ストーリーテリングは人間にとって必要不可欠なツールでした。
一方で、悪しき側面も無視できないレベルになってきている、と著者は説いています。簡単につくられる対立や陰謀論、フェイクニュースなどもこういった悪しき側面にあるものです。それらがいとも簡単に拡散されていくのもここ最近の課題。事実と作り話が入り交じる中で私たちは何をすべきなのかを問いかけた本。話題です。
それではここからは、7月に出た注目作品をいくつか紹介していきます。
ビル・ゲイツの2019年の年末のオススメ本にも取りあげられていた『Growth』が邦訳されています。著者は『エネルギーの人類史』などでも話題になったバーツラフ・シュミル。ビル・ゲイツはバーツラフ・シュミルの大ファンで常に新作を待ち焦がれていると言っています。微生物のようなミクロから、都市というマクロまで、それらがどう成長を遂げるのかを解説しています。
著者は「死」の研究者とのことです。社会の数だけ葬儀の形はありますし、日本国内だけ見ても地域によってもまったく違う葬儀が見られます。そんな中から、死者に対する生者の行為が特殊だなと思った例を選んで紹介しているのがこちら。13カ国の死者の弔いをのぞき見る事が出来ます。
取りあげられている13カ国は先進国が少ないようですが、日本も登場しています。タイトルは「日本のお弔いロボット」。さて、どんな葬儀が紹介されているのでしょう。
両親を射殺して出頭した青年、しかし「刑事責任能力」はナシという判断をされます。統合失調症で心神喪失とされた青年の人生は、判決が下されたところからはじまります。
過剰に投薬される薬、脱獄未遂などさまざまな事が起きる青年の人生を克明に描いたノンフィクション。
ロシアにとっては非常に重要な人物であり、現代史の生き証人でもあるゴルバチョフがその人生を振り返ります。今このタイミングでの出版ということもあり、プーチンの評価なども非常に気になるところ。ウクライナ侵攻が今後どういう経緯を辿っていくのかのヒントも見えるかもしれません。
WebメディアHEAPSの人気連載が書籍化されました。映画や小説などで描かれるギャングたち、裏社会を生き抜いた人たちがどんな生活をしているのでしょう。話をしているのはマンハッタンのギャングミュージアムの館長!?そんなミュージアムがあるのも驚きですが、だからこそ知りえたギャングの噂話を満喫してください。
米国、世界各国でも大きな話題となった本が邦訳されました。著者はこれまで多くのメディアにエネルギーや環境に関する記事などを書いてきた著名研究者。地球温暖化は事実だし、止めなければならないものではあるけれど、それだけで人類が絶滅するわけではない、と著者は説きます。誤った環境対策は、あるべき経済発展を阻害し、開発途上国がもたらす環境悪化を止められなくなるといったこともあるようです。
科学的知見に基づいた実効的な環境保全策とは?
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酷暑が続いています、そしてコロナ感染者数の沈静化まではまだしばらくかかりそうです。暑い夏、涼しいところでゆっくり読書、というのはいかがですか?