「新しい資本主義」が掲げられ、世界経済が大きく動く中、今後の世界のあり方を考える本が多く出版されています。これからどんな本が出てくるのでしょう。
2022年6月20日時点の予約受注実績からこの先発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タイトル・発売日等今後変更になる可能性があります)
注目したいのは『工藤會事件』。発売が近づいてきていますが、唯一の特定危険指定暴力団の指定を受けた工藤會との戦いを描いたノンフィクションです。トップ摘発を目指した検察、警察の裏側を描きます。
著者は『特捜検察vs.金融権力』など検察関連の著書も多い村山治さんです。
出版社 | 商品名 | 著者名 | 発売予定 年月日 |
ダイヤモンド社 | 『家族。』 | カジサック (梶原 雄太) | 20220714 |
飛鳥新社 | 『禁断の中国史』 | 百田 尚樹 | 20220704 |
SBクリエイティブ | 『22世紀の民主主義』 | 成田 悠輔 | 20220707 |
KADOKAWA | 『地球は食べ物 いきもの獲って食べてみた日記』 | ホモサピ | 20220727 |
KADOKAWA | 『ウクライナ戦争は世界をどう変えたか 「独裁者の論理」と試される「日本の論理」』 | 豊島 晋作 | 20220728 |
講談社 | 『生物を分けると世界が分かる』 | 岡西 政典 | 20220721 |
講談社 | 『50歳からの科学的トレーニング法』 | フィンク ジュリウス | 20220721 |
幻冬舎 | 『終止符のない人生』 | 反田 恭平 | 20220721 |
新潮社 | 『工藤會事件』 | 村山 治 | 20220630 |
東京大学出版会 | 『スポーツで地域を動かす』 | 木田 悟 | 20220729 |
では、これから出る本リストから注目作品を紹介していきます。
『暴力の人類史』や『21世紀の啓蒙』といった数々の書籍を送り出してきたスティーブン・ピンカーの最新刊が登場します。わずか1年で新型コロナウイルスワクチンを開発するまでに「知的な高みに達した」ものの、いまだフェイクニュースが跋扈し陰謀論が蔓延する人類。賢いのになぜ愚かなのか、その理由を人が持つ“非合理性”のパターンに求めています。理由やパターンがあるならば対策も可能なのでは?という仮説から人と世界がより豊かになる方法を探ります。
『暴君』で、JRの裏側を描き話題を呼んだ著者が手掛けたのはラストエンペラー。満州国最後の皇帝・愛新覚羅溥儀と溥傑兄弟の人生を描いた評伝。彼らの人生に注目することは、天皇家の昭和にも光を当てることになるようです。
『蒼穹の昴』他、ラストエンペラーの時代に興味がある人は必見の1冊でしょう。
前作『嫌われた監督』で各方面からの絶賛を集め、大宅壮一ノンフィクション賞等多くの賞を受賞してきた鈴木忠平さんが早くも新刊を刊行します。新作のテーマは清原和博。どんな新たな像が浮かび上がるのかが今から楽しみです。著者は以前『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』も発表しています、新刊が出るまでの予習として前作を読んでみるのもよいのでは。
先日、飲食店口コミサイト「食べログ」の点数をつけるアルゴリズムが独占禁止法に違反するという東京地裁の判断が下されました。AI、アルゴリズムというブラックボックスにどこまで人は振り回されているのか、責任はだれが負うべきなのか。そういった観点から関心が集まっています。この本のテーマがまさにそこです。インターネットの中のブラックボックスは大企業の利益にどうつながっているのか、データから「自分」はどう見られているのか。金融と情報どころか社会や行動をすべて支配するに至っているアルゴリズムの裏側を描きます。
ノーベル経済学者を受賞したスティグリッツ教授の大絶賛コメントが表紙を飾っています。ダボスマンとはダボス会議(世界経済フォーラム総会)に出席する億万長者たちを指す呼び方だそうです。世界の名だたる経営者たちが集うこの会議ではいったいどんなことが行われているのか、そのリアルな姿、そしてこれからの世界をどうしていこうとしているのか。超富裕層の真実からはどのようなことが見えてくるのでしょうか。
例年、7月は終戦記念日を意識した戦争ノンフィクションの出版も多くなります。
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今年は、ウクライナの戦火を見ながら、そして混乱する世界を見ながらの8月を迎えることになりそうです。歴史から、今起こっていることから未来を考えるために本を手に取ってみてください。