10月5日朝7時の六本木。
かつて朝までカラオケしていた町に、こんな時間から会議で来ることになろうとは、思ってもみなかった。その上、雨で寒い。1週間のうちに夏から冬へワープしてしまった。着るものがない…と出かける前にさんざん悩んだ。
さて「HONZ」定例会である。今日は鈴木葉月が遅い夏休みで、栗下直也が仕事の関係で欠席。久保洋介は今回もオーストラリアからスカイプで参加。
本日のゲストは一度投稿していただいた麻木久仁子さん。朝っぱらからすみません。
まずは欠席者たちの分。定例会を休んでも、今月のオススメ本だけはどうしても発表したい、という健気というか怖いというか、の気持ちを汲んで。
最初は居酒屋だのセクハラだのでイメージが固定しつつある栗下直也。
おいどうした、病気か?の声が上がる。普通の本なのになぜか栗下さんに似合わない。それはともかく、メンバーが大好きな岩波科学ライブラリーの本。
人気のシリーズで書店でもいい場所に置いてある。謎の著者だが、いつの時代にもこういう人がいたなあ、と思い出す。
「あっ」という声があがり、そっちを見ると内藤順。カブリましたね。あと何冊そうなるか…ふふふ。それはともかく、本書はナショジオの完全サバイバル本。過酷であればあるほど燃える、か?? ひとり3冊が原則だけど、ま、何も言えないので用意してある本だけ紹介しようということになり、
「あっ」という声は麻木さん。本、用意してきていただきましたが、やはりカブリましたか。「いえ~、なんか嬉しいです」ってニコニコ。男子たちは真正面から見られず、窺いながらの定例会です。
やっと栗下さんらしい本。「え、なになに?」とこれは男子たちは興味津々。真剣に見入っています。危なそうな人は、えっと…。本人はまだ買っていないそうだ。
続いてパリで休暇中の鈴木葉月。
そういえば「パリにいきます」とメールがきたときに新井文月が「オシャンティ」って答えていたのだが、まず「オシャンティ」って言葉を初めて聞いた。しかしほかの人は「久しぶりに聞いた」とのこと。世代の断絶を感じたが、これって「ゆとり語」っていうんですって。へぇへぇへぇ!!!
表紙の写真は、オシャンティなブロッコリー(だと思う)。こういう本はメンバーがみんな好き。
これはジャガイモとかトマトとかとうもろこしとか、思い当たる野菜はいっぱいあるなあ。
この種の本は繰り返し繰り返し出版されている。はやく見つかればいいのに。
スパイスは使ってこそ価値がある、と料理研究家の土屋敦は思っていたに違いない。
さてここからは参加者。まずは3冊ずつを紹介する。残った時間で「おまけ」を。
『日本人の9割に英語がいらない』が順調の成毛眞
厚さ4センチはあろうかという分厚い上下本。ノルマンディ作戦を時系列で詳細につづった本。戦記好きにはたまらないだろうなあ。頭の部分を読んだだけだそうだが、相当面白そう。しかし持ち運びには不便だから読むのに時間がかかる。
この分野に強い興味があるという成毛さん。すみません、詳しくないので書店で見てみます。
経済書でアメリカでとても売れた本。オーストラリアの久保洋介とカブった。久保さんが先に書く、らしい。
いつも淡々としている(ようにみえる)高村和久。
これは天才科学者3人の鼎談。時計遺伝子とかクマムシとかハダカデバネズミとかが話題に上がっているらしい。個人的に今回一番興味を引かれた本。
これも変な本だなあ。野菜の栽培などを水耕にしてビルのように垂直に立ててしまおうという試み。確かに水や土地の問題は片付くし、砂漠の中でも効率がよさそうだ。
ハーバードの元学長。どんな定義がされているのか?
転職直後で途中退出する村上浩
過去に科学研究者が起こした様々な事件を掘り起こしたもの。御茶ノ水女子大の先生の研究。大事件からセクハラまで網羅しているとか。
江戸ブームからこっち、この手の本は山ほど出ているが、一線を画す一冊。各場所でのうんちくが面白そうだ。
発売と同時にここ数日、ツイッターなどで評判になっている700P二段組の分厚い本。HONZ肉体派を自認する村上だけに、相当思い入れがあるらしい。レビューが楽しみ。
途中退席のため、おまけの一冊を先に紹介。
とある公立大学に外部から教員となった著者が、大学の中がどんなに理不尽かを書いた本。
ここでワタクシ、東 えりか。
北方謙三氏の秘書をしていたころ、三国志についてかなり詳細に調べたが、2009年に曹操の墓が見つかったというニュースには驚いた。この本は国書刊行会でカラー写真なのに2300円。信じられないほど安い。
津田塾大学、三砂ちづるゼミの女子大生が『逝きし世の面影』の渡辺先生を訪ね、卒論を披露し意見を聞く。
前作『江戸前寿司仕入れ覚え書き』から7年。日本の漁業の驚愕的な衰退を寿司屋の目で見て回る。現場の声が悲鳴に聞こえる。
続いてダチョウ先生のインタビューが大評判だった編集長・土屋敦
モリ突きがしたいから魚の研究者になったのか、魚の研究者がモリで研究材料を突くのか。水中ウ○コの第一人者。実はワタシも持ってきてました(笑)
実はこういう静かな研究書が好きだと告白した土屋。ポーランドから分割された桃源郷の歴史。
科学者がどんな本を読んでいたのか興味があります。
オーストラリアのPCの前で佇む久保洋介。
こちらのカメラはときに放置されているのでちょっとかわいそう。
著者は手塚治虫の担当編集者だったそうで、今はタネ屋。固定種、FI、ミツバチの大量死まで話題が豊富。
まさに今年もそういう年かも。エルニーニョから読み解く世界史。成毛さんから物理学的な疑問が提示されたので、そのへんもレビューで解決してもらえるか?
いやはや、こういう本もあるのか。日本中の料亭を探訪した女性の記録。これは面白そうだ、ちょっと高いけど…
麻木さんの昔からのファンだという濱崎誉史朗。
かなり浮き足立っている感じ。
タイトルそのままのデータブック。推理作家が見たら何かアイデアが浮かんで面白いかも。
偽物国家の首長として気になるそうだ。マニアックな一冊。
伝説の編集者にして本にまつわる専門家が、表に出せないデータを出したもの。千葉の多田屋はワタシの行き着けの書店だった!
オマケまで掟破りなかんじ。
だから、新刊紹介だって言ってるでしょ!!
机の上に本を出さない内藤順。
いったい何冊持ってきてるんだろう?
このふたつは東京にとって鬼門と裏鬼門にあるのだそうだ。果たして何から守っているのだろうか。平将門など怨霊について。成毛さん、食いつく(笑)
考えてみると、毎回誰かが色についての本を持ってくる。ノンフィクションにとって、取り上げたくなる深遠な世界。
暮らしの手帳の編集長・花森安治生誕100年記念の一冊。昭和の主婦には欠かせない雑誌だった『暮らしの手帳』や戦前・戦中の花森にまつわる出来事など。
赤羽橋そばの商店街のシャッターに巨大な絵を完成させた新井文月
『儀礼から芸能へ』http://www.bk1.jp/product/03444540
なんと、amazonで売っていない!プロのダンサーとして踊っているときに神がかるときがあるそうだ。日本人のエンターテイメントのルーツを探る。
白川静の本を読んでから、文字にはまっているそうだ。雲南省に残る象形文字のトンパ文字について、こんなにきれいな本が出ているとは。ちょっと古い本だが、面白そう。
『こんなに違う!』シリーズ。母国語で書かれた教科書は少ないとか、そもそもフランスには教科書がない、とか。
ゲストの麻木久仁子さん
以前もHONZで話題になった本。日本の本邦以外、植民地などを含めた日本の地図。さまざまなドラマがあっただろうに淡々と語られているところが魅力。
落語などから現代文明を論じる著者だが、生きにくいといわれる現代を、もっと楽に生きようという本。
翻訳者でシャーロキアンではない。古今東西のさまざまなシャーロキアンを紹介し、ホームズの誤訳なども指摘。残念なのは、もう少し気の利いたタイトルにならなかったのか、ということ。
ちょっと遅れてきた山本尚毅。超眠そうだ。
幸福の研究は高村とダブり。
インドの財閥ってものすごい大金持ちなんだろうなあ。
実際に五月革命に遭遇した著者の思いと日記。概論を読んで革命の大枠を理解してからのほうがいいらしい。それにしても最近新書はすぐ品切れになる。
実際、山本はゲームをしないそうだが、世の中では大ブーム。どうしてこんなに人気があるのかを探るべく読むそうだ。
ここからは番外編。とりあえず、この本も読みたいと思っている本をランダムに。
成毛
(きれいだ)
(持っているとかっこいい)
久保
(翻訳して)
新井
(意外に家庭的)
東
(女性鷹匠が凛々しいこと)
(過去の芸人さんの貴重な記録)
内藤
(世界にさまざまあるシンボルのルーツ)
土屋
(独自な方法で世界王者を決めると、一番強いのは日本)
(人が作り出してしまった雲の形は変である)
高村
(世界中をマウンテンバイクで旅行する女子の話)
いやはや、今回も面白そうな本が目白押し。果たしてこの中から何本のレビューが書かれるのだろうか?今までやってきた「課題本」はそれぞれの好みの本が大きくかけ離れてきたので、いったん中止。もう少し経ってから、改めて別の形で再開することにする。
超長文にお付き合いいただき感謝です。お好みの本はありましたか?