3月に入り、緊急事態宣言期間も終了しましたが、未だ新型コロナウイルス感染がおさまる気配はありません。出版業界は『鬼滅の刃』ブームに続き、コミックで『呪術廻戦』が大ブレイク中です。陰陽師や呪術に関してのノンフィクションにも目がいくと良いのですが。
今月もノンフィクションの予約ランキングから見ていきます。2021年3月19日時点の予約受注実績から4月以降に発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タイトル・発売日等今後変更になる可能性があります)
『鬼滅の刃で哲学する』など、鬼滅の刃に関連したタイトルが眼に入ってくる事が増えました。「全集中!」といった、キャラクターのセリフや設定にちなんだものも。どういう動きをするのか気になります。
出版社 | 商品名 | 著者名 | 発売予定年月日 |
---|---|---|---|
PHP研究所 | 『鬼滅の刃で哲学する』 | 小川 仁志 | 20210402 |
KADOKAWA | 『NHKスペシャル 戦争の真実シリーズ3 731部隊の真実』 |
NHKスペシャル取材班 | 20210430 |
小学館 | 『コロナ脳』 | 小林 よしのり | 20210401 |
日本経済新聞出版 | 『ビジュアル ビジネスモデルがわかる』 | 井上 達彦 | 20210416 |
文藝春秋 | 『人口減少社会の未来学』 | 内田樹 | 20210406 |
講談社 | 『円周率πの世界』 | 柳谷 晃 | 20210617 |
講談社 | 『中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国 清末 中華民国』 | 菊池 秀明 | 20210415 |
ダイヤモンド社 | 『「向いてる仕事」を見つけよう』 | トム・ラス | 20210513 |
ビジネス社 | 『知らなかったでは済まされない中国の「罪と罰」(仮)』 | 井沢元彦 | 20210705 |
ビジネス社 | 『オードリー・タンが語る日本人のためのデジタル革命入門』 | 早川友久 | 20210419 |
予約リストから注目作品を紹介していきます。
『これからの「正義」の話をしよう』のマイケル・サンデルの最新作が早くも邦訳。現在のアメリカの分断を語り各紙の年間ベストブックにも選ばれたという話題の1冊です。出自に関係なく誰もが努力と才能で成功できる、という一見平等な世の中は果たして本当に幸せな世の中なのでしょうか。勝者と敗者の間に未曾有の分断が引き起こされているというアメリカ社会に解決方法はあるのか。日本のこれからを考える上でも読んでおきたいところ。
数多くの「ヤクザ」本を上梓してきた溝口敦の新作が続けて出版されます。4月には同じくヤクザライターとして数々の本を送り出している鈴木智彦との著書第2弾『職業としてのヤクザ』が発売予定。ビジネス観点からヤクザ社会を解説する本で、ヤクザの定年やどうやって稼いでいるのかを徹底解説します。
そして5月には『喰うか喰われるか 私の山口組体験』が登場。
暴力団取材の第一線に立ち続けた著者は過去三度の襲撃を受けています。だからこそ描けた、命がけ取材の裏側には何があったのでしょう。
『脳に棲む魔物』で自らの精神疾患の体験を描き話題となったスザンナ・キャハランの新作。精神病患者と健常者を区別できるのかどうかを確かめるために健常者を病院に送り込んだ「ローゼンハン実験」は大きな衝撃をもたらしました。彼女自身、疾患がないのにもかかわらず誤診を受けた経験があったことで、この研究に惹かれ調査を始めますが、その結果ある真実が浮かび上がってきた、といいます。
バイデン政権の大統領特別補佐官に選ばれたことで話題になっているのがこの著者、ティム・ウー教授。巨大IT企業による市場支配を批判し続けている論客としても有名で、米政権が規制を強化してくるのではないかという見方も強まっています。
私たちの生活にも大きくかかわってくる可能性のある話。いいタイミングでの新作出版です。
これからどんどん予約が増えますように!
*
昨年はこの時期は首都圏を中心に大型書店の休業が相次ぎ、書店店頭も沈み込みました。例年はこの時期は新学期向けの学習参考書や教科書が売れ、ビジネス書もフレッシャーズ向けのタイトルが大きく動く時期になっています。緊急事態宣言明けとともにスタートする今年の新学期はどんな様子になるのでしょうか。