新型コロナウイルスの拡大防止のため、都心部や大型ショッピングモールを中心に書店の休業が続きました。しかし、開店中の店舗では本を求める人の行列も。専門的な本を求める人も多くなり、前年を大きく超える売上を記録する店舗もあちらこちらに…。先が見えない中、6月の書店にはどんな本が並ぶのでしょうか。
まずはノンフィクションの予約ランキングから。2020年5月15日時点の予約受注実績から6月以降に発売になるタイトルを抽出し予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タイトル・発売日等今後変更になる可能性があります)
ブレイディみかこさんの『ワイルドサイドをほっつき歩け』がランクをあげて1位に!
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は今もテレビなどでの露出が続いており勢いは止まっていません。もう一度ブレイディブームが来そうです。
経済、社会、医学などのジャンルについては、コロナ以前・以後で大きく変化が出てきそうです。コロナ後がテーマになる本の発行計画も順次増えてきているようです。
出版社 | 銘柄名 | 著訳者名 | 発売予定 年月日 |
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筑摩書房 | 『ワイルドサイドをほっつき歩け』 | ブレイディ みかこ | 20200603 |
小学館 | 『働き方5.0』 | 落合 陽一 | 20200603 |
平凡社 | 『「共に生きる」ための経済学』 | 浜 矩子 | 20200625 |
小学館 | 『勝ちたければ歴史に学べ』 | 野村 克也 | 20200605 |
講談社 | 『フィボナッチの数学』 | 中村 滋 | 20201015 |
PHP研究所 | 『こうすれば、バズります。(仮)』 | 原田 曜平 | 20200620 |
建築資料研究社 | 『積算ポケット手帳 設備編2020-21』 | フロントロー | 20200604 |
SBクリエイティブ | 『新聞の大罪』 | ヘンリー・S・ストークス | 20200608 |
SBクリエイティブ | 『嫌われるジャーナリスト』 | 望月 衣塑子 | 20200708 |
文藝春秋 | 『薬物依存症』 | 清原 和博 | 20200615 |
予約リストから注目作品を紹介していきます。これからどんどん予約が増えますように!
『カラスは飼えるか』でも話題の松原始さんの最新刊は、人の動物に対する思い込みを覆していくものでした。タイトルに出てくる4種の動物は、どれも確かに人が抱きがちなイメージ。ベランダに来るカラスは、何か悪いことを企んでいるように見えてしまうこの決めつけや誤解を解いてくれるのか、やっぱりイメージのままなのか。動物のありのままの姿が見えてきそうです。
諜報三機関というのはモサド、シン・ ベト、アマンの3つを指す言葉です。モサドという名前は比較的耳にする機会が多い(といってもアメリカのテレビドラマなどの中ですが)ものの、それぞれの機関が何を目指しどういう働きをしているのかはよくわかりません。これらの諜報機関が国家を守るためにどういう活動をしているのか、どんな暗殺作戦を行ってきたのかが、イスラエルの新聞記者による取材によって明かされます。上下巻という大ボリュームで登場!
諜報機関ものではもう一つ6月の注目本が予定されています。それが『KGBの男-冷戦史上最大の二重スパイ』
ソ連KGBの将校だったオレーク・ゴルジエフスキーはイギリスMI6の二重スパイとなり、その活躍により冷戦構造は大きく変化することになりました。その諜報活動と人生を克明に語った注目本。英国では2018年に発売されベストセラーとなっています。本人はまだ存命ということですが、85年にソ連の軍事法廷で死刑宣告を下されており、身分を隠してひっそりと暮らしているそうです。
この本に登場してくる人物一覧が「田代栄助、国定忠治…」とはじまっています。どちらも侠客ですが、そういった人々がこの「悪党・ヤクザ・ナショナリスト」という言葉にくくられているところから興味がわきました。国定忠治なんて、大衆演劇のヒーローかと思っていましたが、アメリカ人の歴史学者からは違った見方が出来るようです。暴力と密接に結びついた民主主義はどうやって形を変えてきたのか。気になる1冊です。
ゴリラ研究で有名な京大の山極学長と虫好きで有名な養老孟司さんという知性二人によるビッグ対談。コンピューターに支配された人間を生物界のもつ力で救う事は出来るのか?
コロナ禍の中でこれからの人間の行く末を考えるヒントになりそうです。
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本来であれば、この時期は五輪開催に向け、スポーツ関係の本が多く出版されていたはずです。コロナウイルスは、書店店頭に並ぶ本や雑誌も大きく変化させました。コロナウイルスによって変わった世界を前に書き直されている本もあるでしょう。変わること、変わらないこと。これからどんな本が発行されていくのかしっかり見ていきたいと思います。