タベアルキストのマッキー牧元さんは、食レポの天才です。日本のグルメ界を代表するマッキーさんの文章には、食している光景が目の前に一気に立ち現れてくるような臨場感があり、思わず唾液がこみ上げてきます。
文才はもちろんですが、多分、それ以上に、マッキーさんが心から食を愛しているから、その気持ちが読者の心に素直に伝わるのだと思います。
昨年末、そんなマッキーさんたちと一緒に、一般社団法人日本ガストロノミー協会を立ち上げました。
スペイン・バスク地方のサンセバスチャンで100年程前に立ち上がった、料理好きの男たちがキッチンに集まって料理を作って楽しむ美食クラブは、現在では100余りにものぼるそうです。そうした美食クラブを見習って、日本でも同様な活動を展開しようというのが日本ガストロノミー協会の設立主旨です。
東京赤坂にプロ仕様のキッチンを備えた拠点を構え、夜な夜な行われる日本ガストロノミー協会の活動の中核にいる一人がマッキーさんです。
年間600食を外食するというマッキーさんは、レストランやレシピに詳しいだけでなく、料理の腕も超一流で、なんと言っても、素材を活かした味付けが天才的です。
そんなマッキーさんのノウハウが一杯詰まった渾身の作が、本書「超一流のサッポロ一番の作り方」です。
マッキーさんがインスタントラーメンの作り方の研究を始めたのは、小学校二年生の時に食べたチキンラーメン(1958年発売)がきっかけで、そこから発展して、最終的にサッポロ一番(1966年発売)にたどり着いたそうです。
自分の場合は、やはり小学校二年生の時に友人宅でおやつに出された出前一丁(1968年発売)の美味しさに、脳天を雷で打たれたような衝撃を受け、それ以来、どうしたらインスタントラーメンがもっと美味しく食べられるかを考えていますが、マッキーさんの場合は少々レベルが違います。
この本に出てくるサッポロ一番の9つの発展形は、もはやインスタントラーメンとは別次元のもので、単なるサッポロ一番を超越した、正餐とも言うべき仕上がりです。
タンメン風、ホーチミン風、ナポリ風、ソウル風、メキシコ風、エスニックつけ麺風、カルボナーラ風、中野駅前平凡風、香港下町風・・・とにかく全てに味覚がそそられるので、これからひとつずつ試作していきたいと思います。
本書ではこれ以外にも、焼きそば、卵かけご飯、卵、納豆、駅弁などたくさんの章があって、料理をワンランク美味しく食べるためのノウハウが、惜しげもなく披露されています。
その中でも特に嬉しいのは、駅弁界の王者、駅弁界のレジェンドとも言える崎陽軒のシウマイ弁当の食べ方について、詳細な解説が載っていることです。
ガストロノミー協会の公開イベントの一環として、いつか必ず崎陽軒とのコラボ企画を実現したいと思います。例えば、「崎陽軒と巡る日本のシウマイの歴史」というのはどうでしょうか。
何はともあれ、まずは本書を手に取って、騙されたと思って、是非、ここに出ているレシピを自分で作ってみることをお勧めしたいと思います。