大型書店のレジ前に本書が置かれており、不覚にも手に取ってしまった。児童書を買うのに並んでいたはずなのだが。
「文春にバレない」。政治家も芸能人もアスリートも、ことごとくバレてしまっている今、「文春にバレない」は「誰にも知られない」と同義だろう。知りたいではないか、そんな術。
「いや、あんた、一般人だから別に文春に狙われないだろ」と多くの人は突っ込むだろうが、人には秘密の一つや二つはある。男女の密会だけでなく、友人同士や仕事の関係でも、人目にあまりつきたくない状況ってのはあるはずだ。現代人が、いつ、どこで必要になるかわからないのが密会術だ。だからこそ、レジ前に陳列されていたのだろう。
目次からして、実用的だ。「尾行をまくなら奥渋谷」、「途中でタクシー移動を挟め」。すでに探偵や記者につけられている前提で、どんな重要人物だよと思われがちだが、浮気調査はもちろん、最近では、企業内でも敵対する派閥を外部業者に監視させるのは珍しくない。清廉潔白な敏腕サラリーマンのあなたも、いつ誰につけられるのかわからないのである。
さすがに、後を、つけられなくても、誰かとこっそり会わなければいけないときはあるはずだ。著者の助言は、「あえてファミレスを使え」。目立つ場所をあえて使う。詳細は本書を参考にしてほしいが、確かに最近は『ゴルゴ13』を読んでいても、依頼人と真昼の人通りのある公園で会っていることもちらほら見かける。
と、書評っぽいことを書いてみたが、夜な夜なムフフな遊びに興じているあなたはもっと実用的ではあるかもしれない。「エビオスと亜鉛を摂れ」。体調とホルモンを考慮するのも、密会マスターには不可欠らしい。
昨年、「文春砲」が世間を賑わし、文春関係者がスクープの裏側をのぞけるような本を出しており興味深かったが、どこか遠い話に映った人もいたかもしれない。だが、有名人であろうがサラリーマンであろうが密会の必要に迫られるのは決して遠い話ではない。家庭や会社で砲撃を浴びたくない人は一読の価値ありかも。
あの「シャブ&飛鳥」のスクープの裏側とは