私とサイバーエージェントの藤田社長でスタートした755という公開トークライブアプリ・サービス。まさか幻冬舎の社長である見城さんが始めてくれるとは思いもよらなかった。実はそれには伏線があった。
LINE社長の森川さんが見城さんに自ら3時間かけてLINEの使用方法をレクチャーしてくれたおかげで、未だにガラケーユーザーだと思い込んでいた見城さんはLINEのヘビーユーザになっていたのだ。私がもっと入力スピードが上がりますよ、と言っても絶対にフリック入力を覚えようとしないあの見城さんにLINEをレクチャーした森川さんの人間力があってこそ、755も使うことができるようになったのだと思う。
そして755の有名人・芸能人リクルーティング担当の水野君の尽力も大きかった。兎にも角にもあの出版界の大立者、見城徹が755を始めたのである。私はどうせたまにつぶやく程度で「やじうまコメント」なんかに反応しないと思っていた。しかし事実は小説よりも奇なり。彼は全てのやじうまコメントに丁寧に返信し始めた。何を聞いてるんだ、と私ならばスルーするか怒り狂うようなコメントにも真摯に応えていた。
私は見城さんの755を毎日熱心に見るようになっていた。するとある日熱心にコメントを書いていたある「やじうま」の本を出すことになったという。実際に会って出版出来るクオリティだったのだそうだ。いわゆる一般人の755発の書籍が出ることになった瞬間である。あの短いやじうまコメントから彼はその人の作品のクオリティを見抜いているのであった。
この「たった一人の熱狂」も「みのわ」という「やじうま」編集者がオファーしたからこそ生まれた作品である。流石、あの角川春樹に仕えベストセラーを量産してきた名編集者は見る目が違うなあと感心したものである。が、私のこの考えは甘かった。事実はもっと私の想定外であったのだ。
私は「みのわ」氏から別件のオファーを貰い書籍を作っていた。その時に見城さんの755がちょうど荒れている時期であった。どうやら「やじうま」の一人が他の「やじうま」から攻撃を受け755を辞めてしまったらしい。そのことを見城さんは痛烈に批判していた。しかし当の755を見てもさっぱり事の経緯がわからない。話がそのことに及んだところ「みのわ」氏は真相を語った。どうやら見城さんはやじうまの人間関係が分かるくらいに他の人のトークやSNSまでチェックしていたらしい。どうだ、この「圧倒的努力」。
755で出会った見ず知らずの他人のトークまでしっかりチェックして考えぬいて行動に移っている。フリック入力も出来ない御年65歳の御仁が一生懸命なれないアプリを駆使して私達が思いもよらない努力を続けているのである。私は自分の努力がまだ足りていない事を反省した。みなさんはどうだ?彼より努力していると言えるだろうか。そんな彼の「圧倒的努力」の軌跡が見えるこの本。買って読んでも損はないと断言できる。