何かのきっかけで過去の記事が改めて注目されることがある。ここ数日RTされているのは、青木薫のサイエンス通信『無能な研究者のずさんな仕事……なのか?除草剤アトラジン問題のゆくえ』。毎回、「ニューヨーカー」から刺激的な話題をピックアップして紹介してくれているが、理研問題やノバルティス社のデータ改ざん問題など、身近に似たニュースが多いせいか、関心度が高い。
ノンフィクションの魅力は、興味のある事件や事象の裏付けや経過をじっくり検討できるところにある。そうだったのか!と驚かされ、関連図書を漁ってしまうことも多い。HONZのメンバーと「知らなきゃそのままスルーだったのにねぇ」とため息をつくが、そこが醍醐味なのだ。
というわけで、「知らなきゃスルー」かもしれない今月のオススメ本のその2、欠席者の本から紹介していく。
最近引っ越しをして、てんやわんやの様子の鰐部。『隣人が殺人者~』はルワンダで起こったジェノサイドを加害者側から記したもの。気になる。
久保洋介
『古代ローマ人~』『古代ローマ人の24時間』『古代ローマ帝国1万5千キロの旅』に続く3部作目。古代ローマのキス事情、ラブレター、結婚・離婚事情、ナンパや売春などなど、どれもウヒャーとなる内容。それにしても巻末に挙げられている資料の数がすごい。
『マネーの支配者』リーマンショック、ギリシャ危機、ユーロ危機に対応していた中央銀行総裁たちのドキュメンタリー。同じ時代に生きる人として舞台裏でどんな駆け引きがあったのか興味津々。
『南極観測隊のしごと』高校生くらいの時にこういうのを読んでおきたかった。南極観測隊員の選考や役割、仕事の進め方などなどディーテールに富んでいる。科学や冒険が好きになりそうな一冊。
仲野徹
『地図のない場所で~』早稲田大学探検部の先輩・後輩の関係にある高野秀行と角幡唯介の対談集。意外にも、高野さんがむっちゃまともに見える。
『京都から~』京都大学第二十五代総長松本紘先生の本。京都大学が、大いなる実験に乗り出せるかどうか。個人的には松本総長大好きです。この本の最後にある短い自伝にはちょっとびっくりしました。
『タコの才能』このタコ!、いうたら、才能がないことの代名詞やのにねぇ。
新井文月
ニューヨークの個展の準備で超多忙の新井。
『カリフォルニアスタイル』ずばり、カリフォルニアの建築をあますことなく紹介している、だけの本。
『医師が認めた~』身体にとって家が一番影響を受ける環境だ、というシリーズ三冊目。
『イイダ傘店~』いま傘界だとココをオススメ。1本1本受注生産で作られる、オリジナルテキスタイルのセンスが光るイイダ傘店。
野坂美帆
『花の妖精』「フラワーフェアリー」シリーズの永久保存版。残された166篇の詩画をケルト・妖精文学の大家、井村君江氏が完全翻訳した新訳で読むことができます。子供の姿に蝶や虫の羽が生えた姿のイメージは、乙女心をくすぐります。
『儒学殺人事件』徳川三百年の間に殿中で起こった殺傷事件は7件、そのうち、大老が殺害された事件が1件あるといいます。将軍綱吉の御代、殺されたのは時の大老・堀田正俊。歴史の闇を紐解く鍵はどこにあるのか。思想をキーワードに時代を読み解く一冊です。
『南極日和』先日『ペンギンが教えてくれた物理のはなし』をレビューしてから、極地ものに興味津々。BS朝日の番組を書籍化とのことですが、放送できなかった内容も盛り込んであるとのこと。南極観測隊の日常にわくわくです。行ってみたいなあ。南極。
刀根明日香
『私の夫は~』2006年に出版された本の文庫版です。マサイの社会に飛び込んだ1人の女性の生活ぶりを知るだけではなく、マサイの人生観、死生観等々、興味深い内容満載です。人生選択肢いろいろ、最近は遠く離れた土地の話を読むことで癒されたい気分。
あとはおまけを書名だけ。相変わらずソソります~
峰尾健一
山本尚毅
東えりか
足立真穂
成毛眞
内藤順
麻木久仁子
鰐部祥平
仲野徹
新井文月
野坂美帆
高村和久
村上浩
さて殿(しんがり)は事務方・遠藤陽子。彼女の意外な選書にみんな興味津々。
カバーが気分によって使い分けられるリバーシブル。同じ事柄でも明るい人と根暗な人ではこんなに意見が違う。これは楽しい!ポチっ。
朝会終了後、6月は公開朝会にしよう、ということになった。何しろ5月に仲野徹の新刊『エピジェネティクス』が岩波新書より発売されるのだ。これを祝わないでどうする!
詳細は近日発表!皆さんにお目にかかるのを楽しみにしています!!