どの書店もハロウィン一色になってきました。
HONZをご覧の皆さま、こんにちは。
季節がうつりかわるように、日々、自問自答していることがあります。書店は、様々な知恵が蓄積されている場所と、著名な本に書いてありましたが、実際にその通りで、悩んだときは書店にいるだけで心が安定するように思うのです。自分自身の生き方。答えはこちらに書いてあります。
自己啓発本の不思議なところは、普段目に入らないのに、答えを欲しているときには、ふっと目に入ってくる部分かと思います。シンプルで分かりやすい。似通った本はたくさん出版されています。本書は理解しやすい言葉で書かれていますが、疑問点を残し、考えさせてくれます。生き方は、目標がなくなった瞬間に見えなくなります。今は、書店で働いているという気持ちが支えてくれていると分かるだけに、身に沁みました。お客様との世間話の中で、「生き方と死に方は十分考えた方が良いよ」というお言葉が出たことがあります。もっと真剣に答えれば良かったと後悔していますが、このようなことにならないよう頭を使っていこうと思いました。「価値ある生き方」を自身の手で掴みとれるように。
私は、本にジャンルはないと思っています。小説の中には、作家さんの感情が込められています。生きた感情は、ノンフィクションとしても感じられるのです。必死に向き合い続けて、どこか自分という存在を乗り越えた作品があります。
いつも「希望」という光を本に込め続けてきた中村文則さん。今作品を読み終えたときに、私の心を駆け抜けたのは書き終えた後の中村さんの表情でした。実際に見たわけではないですが、とても眩しい顔をされていたのではないかと推測します。他の作品は、少し顔を覗かせるくらいだった希望が、朝日を見つめるが如く優しく包み込んでくれる。そんな空間に私は居たような気がします。「乗り越えた」この言葉がぴったりの、渾身の作となっています。人が好きだからこそ、書けた。狂気と愛のハーモニーをぜひ味わっていただきたいです。
全身で向き合い続けて、同じように苦しんでいる人に少しでも何かが伝わるようにと、願いながら、祈りながら描いたのかなと思った作品です。通して読むことは難しく、少しずつ飲み込みながら読みました。
伝えて良いのか、迷いました。ずっと考え続け、やはり伝えようと決めました。誤解を受けることを恐れ、動けませんでした。しかし、届けたい。本書は、精巣腫瘍という病気に実際になられた方が書いた漫画です。何より伝えたいのは、病気になったときに一番理解してくれるのは医師ではなく、同じ病気を抱えている人なのだということ。家族は、支えてくれる存在です。どの人が欠けても、いけないのだと思うのです。この本からは、感謝や苦しみや、たくさんの感情があります。でも、その中で、伝えたいという気持ちが多く感じられたのです。他人事ではない事柄です。知られていない病気はたくさんあり、インターネットでは見る場所によって間違った知識を持ち、悪戯に不安になることもあると思います。だからこそ、実体験の想いを大事にしたいと、私は思いました。多くの人に読んでもらえることで意味のある最たる本だと思います。
最後に、世界遺産は私にとって魅力に溢れ、夢をくれる存在です。生きている間になるべく多くを感じ取りたい。そう思っています。読み応えがあり、見やすいボリューム満点の書籍をお伝えします。