もちろん、東京HONZの読者が子どもでないことはわかっている。やってみなきゃわかんない。そう思いながらも、なかなか手や体を動かせない人にお勧め。子どもがいる人には、子どものために買ったふりをして自分で楽しむことを推奨。
単純明快なタイトル、子どもに危険なことを体験してほしいのだ。「本当の危険を見きわめる力」と「それに対処する力」を身につけるために、読むだけではなく、行動するための本。危険なことをすると多くの学びがあるとともに、けがや死を伴う。本当に必要なマニュアル。深刻なように聞こえるが内容はイラストを交えつつ、「必要なもの」「警告」「体験の仕方」「詳しい内容」でコンテンツが構成されている。
具体的に50の中から、自分が体験したいと思ったものをピックアップした。
08.やりを投げよう
14.電子レンジに変なものを入れてみよう
16.高いところから落ちてみよう
39.食洗機で料理をしよう
46.指を瞬間接着剤でくっつけよう
どれもだれか友人がやってしまった経験を耳にしたことはあるが、やってみてはいないことがたくさんある。生卵を電子レンジで爆発させたり、指と鼻が接着剤でくっついたり。
本書はアメリカで相当盛り上がりを見せているMake:が出版したものの翻訳。僕も翻訳された雑誌やブログの愛読者の1人。昨年4月に興奮しすぎて、オライリージャパンの担当者に突撃訪問した。日本でも東工大などで年に数回イベントが開催されている。まだ、makerにはなれていない。近々、家に基地を創る予定だ。
make:シリーズは構造主義の祖レヴィ=ストロースのブリコラージュに通ずるところがある。(ブリコラージュ⇒「寄せ集めて自分で作る」「ものを自分で修繕する」こと。「器用仕事」とも訳される。)僕の世代(1980年代)は生まれながらにして、家電製品にあふれ、スイッチ一つで快適な生活を味わうことができた。それ故に、機械の中身の構造や原理を理解はしていないように思われる。自作PCやiPhoneのジャイル・ブレークをやっている人をときたま、みかけるくらいであり、日常で使っているものをブリコラージュする能力に欠けている。しかし、make:にはそれがある。