「しかない」ではなく「したほうが良い」 『脳を鍛えるには運動しかない!』 ジョン・J・レイティ

2010年7月8日 印刷向け表示
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採点:★★★☆☆

最近めっきり運動しなくなった人におススメ。加速する肥満(書評はこちら)と併せて読むと尚よし

運動といえるのはせいぜい通勤中に駅まで歩くだけ。という人も多いのではないか。

狩猟採集から農耕へと我々の食料獲得方法は大きく変わったが、ここまで身体を動かさなくても生きていけるようになったのは、日本では、ここ30年程度に過ぎないだろう。つまり、我々がこの環境に向き合う第一世代であり、我々の遺伝子はこの環境へは最適化されていないのだ。本書は如何に運動が人間の機能について重要かを様々なデータで明らかにしていく。

脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方 脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方
(2009/03)
ジョン J. レイティエリック ヘイガーマン

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そもそも何故運動しなければならないのか?

それは、我々の祖先は常に運動しなければならなかったからだ。狩猟採集の時代には、筋力に優れた人間の方がより多くの遺伝子を残すことが可能であったことは想像に難くない。

では、何故運動が脳を鍛えることになるのか?

結論はシンプル。運動によって、ニューロンの回路を構築・維持するのを助けるタンパク質郡である脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌が促されるのだ。

運動は学習、ストレス、うつなどにも大きな効果を発揮する。

・0時間目に体育を導入した学校の成績が上がった

・うつ患者に運動させるとうつが軽減された

などなど、様々な事例が紹介されているが、かなりのボリュームなので、興味のあるところをつまみ読みすれば十分。

本書を読むと確かに運動する気になる。この感覚はBorn to Run(書評)以来だ。

驚かされたのは、その推奨運動量である。週2~3回ジムへ行くくらいでは全然足りないのだ。

できれば毎日。それもかなり高負荷の運動を薦めている。

身体と食事と脳の話に興味がある人は本書と併せて以下もおススメ。
BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”
加速する肥満 なぜ太ってはダメなのか

異なる視点から人間の進化を考えるには、いかがおススメ。人類はまだまだ進化している!!

一万年の進化爆発 文明が進化を加速した

決定版-HONZが選んだノンフィクション (単行本)
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社
発売日:2021-07-07
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