『かぜの科学 ー もっとも身近な病の生態』
ジェニファー・アッカーマン(著) 鍛原多恵子(訳)
早川書房 (2011/02)
きれいな装丁の本書。現題は「AH-CHOO!」だ。読み方がわからない。洒落気のある著者なのは間違いない。章のタイトルも 「風邪(コールド)の赤裸々(コールド)な真実」 ・ 「ひかぬが勝ち」 という勢いだ。 「ひかぬが勝ち」 は 「don’t catch me if you can」 の訳。うまい。
中身は風邪に関する情報が満載で、とりあえず、自分が風邪について全然知らなかったことが良くわかった。
・ 風邪は鼻から始まる。鼻の粘膜に1個でも侵入すれば十分。
・ 風邪の症状は体の免疫反応が引き起こす炎症プロセスであり、細胞自体はそれほどウイルスに破壊されていない。
・ 抗生物質を飲んでも風邪は治らない(ウイルスだから)。
・ 市販の風邪薬の効果は証明されていない。
・ 人間のDNAの8%程に風邪のウイルスが組み込まれており、人類の進化に欠かせない役割を果たしている。
それから、やっぱりそうですか、というネタもあった。
・ 睡眠がとれないと、5倍風邪にかかりやすい。
・ ストレスがあると風邪にかかりやすい。特に慢性のストレス。
・ 野菜入りチキンスープは風邪に効く(レシピつき)。
ストレスが悪いとなると、どうしたらストレスを軽減できるのか気にかかるけれど、それに関しては、リラックスしましょう、たまには風邪をひくのも悪くない。とのこと。
結局のところ、風邪の予防に一番良いのは「手洗い」と「鼻を触らないこと」らしい。
実験の結果、我々はすごい勢いでいろいろなものを触り、すごい回数、鼻の周辺に触っている。これを防ぐことでかなりの予防効果が見込まれるのだ。ちなみに名言も紹介されている。作家のロバート・ベンテリーの風邪予防法は「鼻や口から息をしないこと」だ。予防法ではないがジェーン・オースティンはより文学的だ。「なんだか物憂くて淋しい - きっと風邪をひいたのね」
ちなみに我が家はこの冬、イオン発生する加湿器を使用した。
「加湿器はあまり効果なし」と言うけれど、風邪ひかなくなったような気がする。
などと思っていたら、「加齢に従って回数は減少します」。。うれしいような悲しいような-きっと風邪をひいたのね。