今日はなかのとおるが「ダム」をやっているので、対抗措置としてあわてて「水力」をやってみることにした。本書は水力ドットコムからの派生物だ。著者はそのサイトの管理人だが、同時に財団法人日本ダム協会の認定ダムマイスターでもある。ダムについてはいろいろな見地から賛否両論あるため、ダムマイスターなる軽めの言葉にカチンとくる人もいるかもしれない。しかし、ダムとトンネルは土木の粋でもあるのでそれはそれで面白いのだ。
本書は大規模水力発電所、山里の水力発電所、レトロな水力発電所、水力発電のためのダム・取水堰の4章がカラー写真で埋め尽くされている。どれほどの人が水力発電所の水管を見てグッとくるのか判らないが、店頭で手にとって思わず買ってしまう人は潜在的な水力発電所のマニアであろう。これをアマゾンで買ってしまう人は真の水力発電所のマニアか、単に本のマニアである。
カラー写真の間には水力発電のしくみやダムの種類、水力発電の歴史、もっと水力発電所を知る方法などの図版たっぷりのコラムが付属している。むしろこちらの方が本編なのかもしれない。たとえば、放水量をコントロールするためのゲートにはスライドゲート、ローラーゲート、ラジアルゲート、フラップゲート、ラバーゲート、ローリングゲート、ハウエルバンガーバルブ、ホロージェットバルブなどがあり、そのすべてについて図版で説明してくれる丁寧さ。だからなんなんだという疑問については腹の中に収めておくように。
とりあえず本を買う前に水力発電について知りたい方は水力ドットコムを覗いてみることをオススメする。