タイトルで買った本だ。この新書の「みんなが知りたいシリーズ」の一冊なのだが、「ええーっ!みんな、そんなにペンギンのことを知りたいのか」「もしかすると、オレだけがペンギンにさほど興味を持ってなかったのか」「ところでみんなって一体誰なんだ」など、ペンギンについてではなくタイトルのほうに気がそそられてしまう。
読みすすめると、たしかにペンギンは可愛い。シュレーターペンギンなんてぬいぐるみのようだ。コガタペンギンのネーミングは安直すぎ、などとペンギンを相変わらず豊富なカラー写真で概観してから、いよいよ蘊蓄へと進む。
なぜペンギンは北半球にしかいないのか、1年に1~2回の換羽は命がけ、エンペラーペンギンがケンカをしないわけ、ペンギンが凍傷にならない理由、ペンギンが海水を飲むことができるわけ、などなど確かに面白い話題が取り上げられている。
これ一冊でペンギンについての常識を学ぶことができる。なんのためにペンギンを学ぶのかという根本的な疑問さえ持たなければ、お勧めの一冊である。
ところで、ペンギンの最深潜水記録は564メートルだそうだ。57気圧だ。本書の前半では気嚢システムのおかげで長時間潜水できると説明されているのだが、この気圧下では肺も気嚢も潰れるので、浮力のコントロールはどうするのであろう。水棲動物は潜水中の窒素酔いや酸素中毒はないのだろうか。ダイバーとしては気になってしかたがない。