手元に届いたばかりの号で興味を持った記事はNEWS SCANという巻頭コラムのなかから、「過去からの衝撃」と「磁石で病気を吸い出す」の2本、記事からは「サイドチャネル」だった。
暴動を受けてなのであろうか、「過去からの衝撃」は1964年から1996年までの間に、新疆ウイグル自治区のロプノール実験場で中国が行った核実験の放射能によって、数十万人の市民が死亡した可能性について伝えている。記事中では説明されてはいないが、ロプノールは彷徨える湖として有名であり、古代の湖畔には楼蘭王国があった。1972年には湖が完全に消滅したことが判明した。10数年前にこのあたりを旅行したのだが、いまはどうなっているのであろうか。太古から栄枯盛衰の地である。楼蘭については『楼蘭王国』がお勧めだ。
「磁石で病気を吸い出す」まずは病原体に結合する抗体を赤血球の1/8ほどの磁気ビーズにコーティングして血液中に送り出す。ビーズが病原体と結合したら磁場をかけて一気に回収するというものだ。敗血症を引き起こす細菌などに効果がありそうだというのだ。本当に治療効果があるのか、かなり怪しい感じだが、ハーバード大学の先生たちの研究である。もしうまくいくと『ダチョウ力』のダチョウ先生の驚異的に安価な抗体が売れるかもしれない。
「サイドチャネル」は原始的だが、ある意味で新しいセキュリティーホールの総称だ。コンピュータを使っている人の瞳や、モニターの前においてあるコップに反射している画面を読みとるのだ。1400ドルほどの望遠鏡を買えば27メートル先からマグカップに反射した14ポイントの文字を読み取ることができるのだという。この望遠鏡の口径は20センチだ。下の望遠鏡の主鏡有効径が19センチなのだが、27メートル先であってもこんなのがあったら気づくかもしれない。