たまに朝鮮日報オンラインの日本語版を覗く。そこで『Romeo and Juliet』を知った。朝鮮日報のロンドン特派員が昨今イギリスで流行るものとして紹介していたのだ。じつはこの本、イギリス人女性が書いたマンガである。驚くことに舞台は現代の東京。ヤクザのモンタギュ一家とキャピュレット一家が抗争している設定だ。名前は原作の英語名のままなのだが、登場人物の顔はすべて日本人である。
ちなみに、あらすじもせりふもほぼ原作そのままなのだが、エピソードは現代の日本風に脚色してある。ロミオはJロックの歌手だし、両家の手下は原宿で日本刀を手に抗争する。ちなみにロレンスは神社の神主だ。絵は完全な日本の少女マンガ風である。
つまり、韓国メディアが紹介する、イギリス人マンガ家による、日本を舞台にした、アメリカで出版された、萌え系のマンガなのだ。
朝鮮日報によればファイナンシャルタイムズが「簡潔ながらも原作の言葉を生かしている」と評価しているとのことだ。ジャパンクールとシェークスピアの合体だ。
(本稿は文藝春秋に掲載された自分の書評をブログ用に改変したものである。いただいたシェークスピアのコメントで思い出したので、ここに掲載します)