刺激的なタイトルのようだが、本当にアメリカ人の半分もニューヨークの場所を知っているのであろうか。もっと少ないような気がする。上澄みの何パーセントは別にして、平均してしまうと本当におバカな国民であることは間違いない。アメリカでは「ヘキサゴン」のような番組は受け入れられないはずだ。なにしろ惰性的テレビ視聴者の知性は「羞恥心」以下なのだ。
10年ほど前になるであろうか。シアトルに住む友だちのご子息が地元でも有名な進学校に進学した。合格後の親と学校の面談で、学校側は生物学ではどちらのコースを取りますかと聞いてきた。すなわち進化論か創造論(あの天地創造のことだ)かというのである。凄すぎる。ところが実際はもっと凄い。本書によると2割のアメリカ人が天動説を信じている。もはや中世の科学知識しか持ち合わせてはいないのだ。
そのアメリカ人が2期も政権を託したのがブッシュだった。本書はその筋金入りのアホぶりなどを紹介しているのだが、最近、書店でよく見る優越感と羨望が混ざった中国バッシング本とは異なる。少なくとも20年も米国企業に勤めたものから見ると、じつに公平公正に書いている。本書が指摘するようにアメリカは本当におバカな人たちが住む愚かな国なのだ。
日本も同じように愚かだと自戒する人がいるかもしれない。首相は一年に一度、政権を放り出し、厚労省などの旧内務省はバカばかり雇ってしまったと嘆く人も多いだろう。とはいえ我が国はほとんどの先進国と同様、国民健康保険だけは維持している。米国にはそんなものはない。米国人の5000万人は健康保険に未加入で、毎年2万人は一切の医療を受けずに死んでゆく。凄すぎる。
本書では触れられていないが、米国の銃による殺人も凄い。毎年1万人ほどが銃で殺される。なにしろ殺人の7割が銃殺なのだ。加えて毎年3-4万人が銃による自殺や事故で死んでいる。一種の内乱状態といえる。日本の外務省が米国への渡航延期勧告をださないのが昔から不思議だった。間違いなく一部のアフガニスタンやイラクなど、米国が占領している国を除いたイスラム諸国などより遥かに危険な国なのだ。
ところで、サブプライム問題は市場の攪乱だけではすまないであろう。今後、まちがいなく米国内の社会不安を増大する。サブプライム問題の次に控えているのはオルトA問題だ。オルトAからプライムの一部まで火がつくと、米国内の内乱状態はさらに加速することになる。アメリカ人たちが腹いせに核ミサイルをぶっ放さないことを祈るのみだ。