昆虫はあまり好きではない。とりわけ、ムカデのように足が無数にあるものは身の毛がよだつ。しかし、蛇はまったく問題ない。人が属する哺乳類は4本足だから、それ以上か以下の足の数をもつ生物のどちらかを嫌うという話を聞いたことがある。自分は4本以上の足を持つ生物は大嫌いなのだ。
にもかかわらず、知り合いの編集者がこの本を送ってくれた。いい迷惑である。けれど、意外にも虫たちがきれいなのだ。スキャナで読み込んだからであろうか、現実感があまりない。6本足で皮膚の上を這いずり回る虫という感覚からは程遠い、無機質な造形美とでもいうべきか。でもね、所詮虫なのである。