著者 : タラ・パーカー=ポープ、古草秀子
出版社 : NHK出版
発行日 : 2011/9/23
この本のタイトルを見たとき、「あっ、自分もそうだ~」とタイトルに共感して、衝動買いしてしまった。僕はタイトルと同じように黙るほうである。そして、女性はけんかの際に沈黙を保たないほうがよい。研究成果によれば、けんかの際に感情を口に出さない女性は、思ったことをいつも夫に言う女性と比較して、死亡率が四倍だった。男性の沈黙は健康には影響がないらしい。円満な結婚生活のために、男性はけんか中、黙って我慢しよう。
しかし、そもそもけんかをしなければ、もっと幸せじゃないかと考えたくなる。平和を愛する身として僕もそれに同意したい。が、そうはいってられない。夫婦げんかは科学的にそれなりの役割を果たしている。結婚してまもない頃にはけんかをたくさんしているほうが、長期的には安定した関係を築けるのだ。そして、夫婦げんかで重要なのは内容ではなく、”やり方”である。特に最初の3分間が肝だ。ワシントン大学の研究チームは、最初の3分間を観察すれば、夫婦が6年後に離婚しているか否かを予測できると立証している。ポイントは「不満ではじめるか、批判ではじめるか」だ。
愛や恋は神秘的なものであって、そこに科学が入り込む余地などないと言う人もいるだろう。しかし、夫婦関係を詳細に分析すれば、その結婚が長続きするか離婚に終わるかを驚くべき確率で予測することが可能なのだ。不倫はあらゆる文化に存在するので、その傾向と対策も重要だ。MBAで習うビジネスのケーススタディはいつ役立つかわからないが、家庭内での成功と失敗のケーススタディと科学的なファクトデータ、観察の切り口はすぐにでも役に立ちそうだ。
また、ゼクシィの調査によれば、震災がきっかけで相方との絆を再認識した“絆婚”や、結婚への意識が高まり“絆”を求めて婚活をする独身女性が増えたそうだ。これは、現代の結婚の特徴を表している。昔は経済的・社会的な制度として結婚しており、愛情や絆が介入することはほとんどなかった。一方で、現代のカップルは昔と比べて結婚に対してはるかに高い期待を抱いている。その期待は公平さや協力関係で、個人的にも感情的にも満足できる関係を創ることだ。それは、双方に重荷を背負わせもするのだが、今回の震災で否応がなしにパートナーとの協力関係や絆、不安な感情を和らげる効果が顕在化した。そのため、多くのカップルが一時的ではあるが、パートナーに抱く高い期待の基準超えに成功したのだ。震災がきっかけでの結婚は危うさを拭えない。
話が横道にそれたが、本書は信頼できる実験結果や追跡調査をベースにし、きっぱりとしたスタンスを持っている。
愛情や人間関係について最高の助言をくれるのは、セラピストやセルフヘルプの専門家ではなく、科学の世界の研究者たちなのだ
ここまで明快なスタンスである理由は著者が実際に離婚を経験したからだ。当時、著者は流布している噂も相まって離婚を早まった。ちょくちょく自分の経験を織り交ぜているのだが、明らかに離婚したことを後悔しているのだ。
誰もが抱えている異性との人間関係におけるトリビアも本書の得意分野である。あまりにも強く印象に残ったものを最後に紹介させていただく。
セックスは富と同じく公平に分配されていない
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著者 : 高田 文夫:清水 ミチコ
出版社 : 双葉社
発行日 : 2011/9/28
ニセ夫婦漫才というその状態が気になる。本当の夫婦でもないのに、23年間も続けていることに驚いてしまう。今回書評した本には夫婦仲を測定する多数のアンケート項目がある、この二人のラジオのネタに使ってもらいたい。
なぜ、母親は息子を「ダメ男」にしてしまうのか (講談社プラスアルファ新書)
著者 : 岩月 謙司
出版社 : 講談社
発行日 : 2004/6/18
男女の関係を考えるときに、母親と息子の関係は外せない。子供ができた後にダメな親にならないためにも。
著者 : アラン ピーズ
出版社 : 主婦の友社
発行日 : 2002/9/1
この手の本では定番化もしれないが、今、読み返してもついつい納得してしまう内容が多い。