雪のちらつく季節となりました。いかがお過ごしでしょうか。日本全国津々浦々、書店はサンタクロースのプレゼント応援部隊として毎日張り切って営業しております。つまり、一年で一番忙しい超繁忙期でございます。最近ではご自分へのプレゼント、と言って高額の図鑑をお求めいただいたり、うらやまし、じゃない、ありがたいことでございます。今月は科学の魅力をお伝えできる本をご紹介しようと思います。ぜひ贈り物にもご検討くださいませ。
まずはこちらを。『科学の宝箱 人に話したくなる25のとっておきの豆知識』は、タレントの松尾貴史さんがパーソナリティを務めるTBSラジオ「夢☆夢Engine!」(@yumeyume_tbsr)の公式BOOKでございます。
いや、このラジオ番組、本当にゲストが豪華すぎる!!鼻血が出ますよ!公式BOOKに収録されているサイエンストーク出演科学者の皆様だけでもすごい。世界で初めて人工知能を搭載したロボット「morph2」や、「ハルク2」を開発した気鋭のロボットクリエイター古田直之氏に始まり、JAXA・川口淳一郎氏、MEGASTAR開発・大平貴之氏他、第一章「ロボット、宇宙、科学の最前線」だけでも書ききれません!!
それが第二章「身近な生き物の驚くべき生態」(おおおおー!ジュウシマツ・岡ノ谷一夫氏!素数ゼミ・吉村仁氏!歌う生物学者・本川達雄氏!他)、第三章「人間の「心」と「生活」を考える」(顔学・原島博氏!左右学・西山賢一氏!他)と続くのですからもうたまりません。ポピュラーサイエンスの宝石箱や~~!!
中でも注目していただきたいのが金沢大学名誉教授・廣瀬幸雄氏でございます!え?北陸推し?違いますよ!!とにかく書店に行って、207pを開いてみてください。廣瀬氏のページです、ほら、皆様、早く!
「ハトに嫌われた銅像の化学的考察」でイグ・ノーベル賞を受賞なさった廣瀬氏。まさかコーヒー研究の末、焙煎と抽出法まで開発なさったとは・・・!!あの、金沢大学の「コーヒー学」という教養課程講義、今でも設定されているのでしょうか。私、ぜひとも聴講希望いたしたく。
「夢☆夢Engine!」は、2011年4月から放送を開始した番組です。2010年は小惑星探査機はやぶさのニュースで科学に大きな注目が集まりました。また、2011年には福島原発事故が発生し、科学不信が高まると同時に、より科学を理解しなくてはならない、盲信してはならないという気運が高まったように思います。
若者の理系離れも問題視されていた中スタートしたこの番組は、文系・理系問わず毎週様々な分野の研究者・専門家をゲストに迎え、科学の面白さ、奥深さを伝えていこうという主旨を大事に続けられてきました。
公式BOOKにもその気持ちは溢れていて、文系・理系という枠を気にせず読むことができる、メッセージ性に溢れた好奇心いっぱいの一冊に仕上がっています。また、番組の放送はポッドキャストでも配信されています。
今後のゲストも12月14日にはネコ心理の齋藤慈子氏、21日にはアサギマダラの栗田昌裕氏、興味深い先生方がどんどんご出演。ぜひラジオの方もご注目ください。
いけません、いけません、つい一冊目から興奮してしまって、字数が厳しくなってまいりました。お次は『世界一素朴な質問、宇宙一美しい答え』を。副題に「世界の第一人者100人が100の質問に答える」とあります。
そうなのです。この本、科学、哲学、社会など、イギリスの子供たちが投げかけた身近な質問に、ドーキンスやチョムスキーなど、世界的第一人者が回答するのです。贅沢!「夢はどんなふうに生まれるの?」「地球温暖化ってなに?」子供たちの何気ない質問に言葉に詰まった経験はございませんか?私などはしょっちゅうでして、その度に「ママ、全然ダメじゃん」的冷たい視線を浴びせられるのですが、まあ、野坂家事情は置いておきましょう。
この本の面白いところは、え、この質問にこの回答者?という一見ミスマッチな組み合わせがあるところでございます。例えば、「どうしていつも大人の言うことをきかなくちゃいけないの?」という質問には教育学者ではなく自虐コメディで人気の出たミランダ・ハートが。「どうして音楽があるの?」という質問にはミュージシャンのジャーヴィス・コッカーが。パルプのジャーヴィス・コッカーです。見間違いではありません。マイケル・ジャクソンのパフォーマンス中に乱入し、お尻ぺんぺんをした、ジャーヴィス・コッカーです。
その他にも質問と回答者の意外な組み合わせがたくさんありますが、回答を読んでいくと、ああ、この人の言葉でよかった、と思えます。こんな視点で回答をくれるんだ、という驚きとともに、言葉がじんわり沁みてきます。
もちろん、この人でなくては!という組み合わせもあります。「人間はどうやって文字を書くことを覚えたの?」にジョン・マン、「数字は永遠に続く?」にマーカス・デュ・ソートイ、「宇宙のはじめに「なんにもなかった」のなら、どうして「なにか」ができたの?」にサイモン・シンなどなど。どんな回答をするのか、わくわくしますよね。
見開き2ページの短い文章の中で、子供の質問に正面から、理解してもらえるように回答するのは難しいことだったと思います。ユーモアと、子供たちへの愛情に溢れた回答は、読んでいるだけで幸せな気持ちになります。
大人でもなかなか自分の中に答えを持たないような質問もあり、親子で考えさせられる一冊です。ぜひ、一緒に読みながら、自分たちの答えを探してみてください。(たぶん、野坂家に来るサンタクロースは、この本をプレゼントに持ってくるのではないかな~。ダメじゃんなママの代わりとして。内緒ですよ。)
さて、お次は理系彼氏にプレゼントするならこちらはいかが?『数学者が読んでいる本ってどんな本』です。数学ファンには有名な東京神田神保町の書店「書泉グランデ」。こちらで開催されているフェアの選書をまとめたもので、取りまとめは東北大学・小谷元子氏がなさっています。
「数学者が読んでいる本ってどんな本だろう」、「数学者が数学者としてでき上がる過程で重要な意味をもった書物を知りたい」という要望に応え、書泉グランデの数学書担当の布川路子氏が、東京図書の松永智仁氏や新倉広己氏と議論を積み重ね、「数学者の書棚」フェアが明治大学の砂田利一氏をアドバイザーとして2011年に書泉グランデ理工学書フロアの一角で開始した。
(「序」より)
数々の数学者、またノーベル物理学賞受賞者の益川敏英氏や、東北大学物理学科卒の作家・円城塔氏など、多彩な選者が「私の書棚」を披露なさって選書累積は2013年9月時で875冊に上ると言います。
それぞれの選者がフェアのために選んだブックリストだけでも興味深いと思いますが、更に思い入れのある書籍に寄せられた紹介文が熱い!これから理系の道を志す方にプレゼントするのも素敵ですね。紹介されているリストの商品は、店頭に並んでいないものでもお取り寄せできるものが多数ございますので、ぜひ書店でご相談ください。
さて最後に年末の大事な商品をオススメして終わりたいと思います。『理科年表 平成26年版』机上版はもう発売済、ポケット版も近日入荷予定です。『理科年表』は年表ではありません。国立天文台が編纂する科学の全分野を網羅したデータブックで、26年版は世界のどこで地震が頻発しているのかわかる「世界地震分布図」を20年ぶりに改定。
毎日新聞社の元村有希子氏が著作『理系思考』にて、読んでも面白いと絶賛なさっていたのに大賛成です。種々のデータは理科・科学データの原点でありますが、社会事情を読み解く鍵にもなり得ます。何事も基礎データというのは大事、応用が利くものです、ということで、この商品、ぜひ一家に一冊いかがでしょうか。