今年のビジネス書No.1はこれで決まり!読み終わった瞬間にそう確信した。この本はぜひともたくさんの人に読んでほしい。いやたくさんの人に届けなくてはいけない。書店員である私は勝手にそういう使命に燃えている。
むかし、とある人に「あなたが売ったその1冊の本が、その人の人生を変えるかもしれない。あなたたちはそういうものを売っているのです。」と言われ、私はそれを胸に働いている。そう、この本はきっと多くの人生を変えるはずである。それだけの力をこの本は持っていると、私は信じている。だから騙されたと思ってぜひ読んでほしい。読んだことを決して後悔はさせないから……。
もし、あなたが「変わりたい」と願っているのなら、僕のアドバイスはひとつだ。
ゼロの自分にイチをたそう。
掛け算を目指さず、足し算からはじめよう。
僕は働くことを通じて、自分に足し算していった。仕事という足し算を通じて、つまらない常識から自由になり、しがらみから自由になり、お金からも自由になっていった。掛け算ができるようになったのは、ずいぶんあとになってからのことだ。
僕には確信がある。
どんなにたくさん勉強したところで、どんなにたくさんの本を読んだところで、人は変わらない。自分を変え、周囲を動かし、自由を手に入れるための唯一の手段、それは「働くこと」なのだ。
私はこの部分を読んで、稲盛和夫の『生き方』や、松下幸之助の『道をひらく』などと同様、『ゼロ』には定番書となりうる普遍性を持ち合わせていると感じた。またこの本にはほとんどの人がイメージしているであろうホリエモンの姿ではなく、等身大の堀江貴文というものが描かれている。まったくかっこつけることなく、むしろかっこ悪いと思うようなこと、たとえば学生時代まったくモテなかったというような話まで、赤裸々に語っている。
そういった部分を読むと、当たり前のことなんだけど、彼も自分と同じ人間なんだなって思える。そこがいままでの彼の著作と違い、とてもいい。ホリエモンという虚像ではなく、一般家庭で育ち、努力を重ね、ゼロにイチを足し続けて地位を築いてきた。そんな堀江貴文という人の実像を知ることで、誰もが勇気をもらえるはずだし、そういったところに共感する人も多いだろう。そしてこの本を読むことで、堀江貴文という人に対する印象がきっとかわるはずだ。
また、この本は生きる、働くということについても、たくさんの示唆に飛んでいる。“チャンスを見極める目なんて、必要ないのだ。”だとか、“「できっこない」という心のフタさえ外してしまえば、「やりたいこと」なんて湯水のようにあふれ出てくるのだ。”といったように、とにかくやってみることの重要性を説いている。結局のところ、成功する人と、そうでない人の違いというのは、実際に行動に移すかどうか?ということなんじゃないか。そんな気がしている。
物事を考えるときに、できない理由から考えてしまう人は多いだろう。私もそうだ。そうではなく、できる理由から考える癖をつける。むしろ考える前に始めてしまう。これだけで自分に巡ってくるチャンスの数は格段に増えてくるのだろう。大事なのはノリのよさだと彼はいう。チャンスに飛び込むかどうか、悩んでいるひまがあるならば、考える前に「全部やれ!」それが彼からのアドバイスだ。
“経験とは経過した時間ではなく、自らが足を踏み出した歩数によってカウントされていく”
経験を積み重ね、自分にイチを足し続けていく。そういった地道な努力が将来、掛け算になったとき、大きなレバレッジを生み出す。人生には都合のいいショートカットなんて存在しない。だからこそゼロにイチを足し続けること、つまり経験を積み重ねることが大事なのだ。あなたの人生を動かせるのはあなただけである。この本をきっかけに、あなたにもぜひ一歩を踏み出してもらいたい。