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こんにちは。栗下直也です。突然ですが、企業、特に製造業を舞台にしたドラマでは欠かせない人物っていますよね。傍流だが、ヒット企画連発の社員、凄腕の技術者、伝説の営業マン、ピカピカのキャリアの若手などなど。このような人物がてんこ盛りの本を最近読みました。『究極にうまいクラフトビールをつくる』(新潮社)です。
ビール離れが指摘される中、ビールの未来を切り拓こうとキリンビールの異端者たちが従来の大量生産型のビールづくりに背を向け、社内の猛反対を受けながら「クラフトビール」の専門店をオープンするまでのビジネスノンフィクションです。
「また、酒の話かよ」と思われるかもしれませんが、酒の話です。ただ、今回は酒を飲んだ人の話でなく、酒を提供する人の話です。登場人物は誰も泥酔していません。何だか胸を張っている自分がいます。
そんなわけで、意気揚々とHONZにレビューを書こうと思ったら、田中大輔が発売されるや、レビューを書いていました。さすが田中です。FACEBOOKが一時期、ビールの写真で大半が占められており、「ちゃんとご飯食べてるのかしら」と私、親戚のおばちゃんのように心配していた時期もあったほどビールを愛飲している田中です。「ビールより、ハイボールやレモンサワーが好きです」とメルマガで公言している私とは熱量が違います。
とはいえ、この本、ビール好きはもちろんですが、私のようにビール以外の酒を愛する方にも是非おすすめしたいです。むしろ、「酒は好きだが、ビールはちょっと…」という人間こそが読むべきでしょう。このプロジェクト自体、「ビールって、だせーよな」って若者が思い始めているのではという危機感から始まっているからです。
異端児達の挑戦が中長期的にどうなるかわかりませんが、今のところ代官山にオープンしたクラフトビール店「スプリングバレーブルワリー東京」は大賑わいのようです。
彼らの試みは、本書を読んでいる最中にめちゃくちゃビールが飲みたくなる時点で成功しているのでしょう。「エグザイルか栗下か」ってくらいレモンサワーに傾倒し、新橋を根城にして「代官山なんてスノッブ過ぎて行けるかよ。けっ」と思っていたのですが、お店に行きたくてたまりません。誰かつれていってください。
あなたも本書を読めば、明日から、「とりあえずビール」なんて台詞は吐けなくなります。ビールの精霊と話せるようにもなるかもしれません(詳しくは本書を読むべし)。
「てめーはキリンの回し者か!絶賛しすぎだろ!!!」とスーパードライ愛飲者からおしかりを受けそうですが、特に不純な関係ではありません。そもそも、私、ビールを自宅で飲むとしたら、男は黙ってサッポロ黒ラベルです。
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