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HONZの「今週はこれを読め!」

こんにちは。栗下直也です。私、この1週間反省しておりました。『反省させると犯罪者になります』(新潮社新書)という本がありましたが、犯罪者になることを辞さない覚悟で反省しておりました。先週、1円にもならないのに1500字を費やして、HONZ初代編集長の土屋敦の新刊を大絶賛したのですが、メルマガ配信後に土屋敦 にtwitterで「メール配信後しばらくしてAmazonを確認すると、ランキングがぐぐっと下がっていました(笑)。栗下パワー恐るべし」とつぶやかれる始末。

確かに、絶賛しているのか貶しているのか少しばかり曖昧なところもあるのですが。紹介する本の実店舗での流通を鈍らせる「HONZの逆噴射男」ぶりをネット上でも遺憾なく発揮したわけでございまして、重ねて落ち込んでおりました。

本日も落ち込みから脱せずというよりも、二日酔いの重い頭を抱えながらボケーッとしていたら、共通の知人からメールが入りました。「土屋さん、『下山』するみたいです」。

先週号でお伝えしたように、飲み会の誘いにも滅多に応じず山梨県の自宅に籠城している土屋が下山。横井庄一さんのように恥ずかしながら我々の前に帰ってくるしかないはずと思っていましたが、自分の新刊の宣伝にはめちゃフットワークが軽いのでしょうか。

「今日からラジオに三日連続で出るみたいですよ」。もはや言葉が出ません。まさかの三日連続下山。3年連続で人類が月面着陸するくらいの衝撃です。というよりも、もはや僕らが嫌われているだけのような気がし始めましたが。

もちろん、ツチヤマニアの私としては、そのラジオってのを聴いてみたのですが、登場第一声が「めんどうくさい料理研究家の土屋敦です」。自己分析は完璧です。案内役で歌手のダイヤモンドユカイさんに「土屋さんがめんどうくさいわけではないんですよね」と振られ、苦笑する土屋敦。ラジオの前で「そこは頷けよ。たぶんそうだよ」と突っ込んでしまいました。

今日紹介していた料理は「おひたし」。8時間かけてつくる「おひたし」。新刊の中で紹介していたレシピです。ラジオでも土屋節は全開でした。「ほんの一手間かけるだけでうまくなる」と力説するも、藤井彩子アナウンサーに「ほんのでも、一手間でもないでしょ」と突っ込まれる土屋敦。ほうれん草を茹でる温度は50度がよいと説き、ユカイさんに「50度ってどうやって測るの」と聞かれ「お風呂より熱いかなってくらい」と答えるも、「お風呂は40度くらいじゃん」と正論で曖昧さを突かれる土屋敦。

本に書いてあるように確かに面倒なんですが改めて本人の話を聞いていると、不思議なことに楽しそうなんですよね。「料理は過程を楽しむ」、「スポーツみたいなもの」と言われるとその通りであり。次第に土屋敦の持論にうなずきはじめる二人。工程が長いため「おひたしを食べたいと思ったら翌日食べるイメージ」といわれたら、「はっ?」と思うはずですが、「まあ、そうかも」と最後の方は私もラジオの前で納得してしまいました。

恐ろしいことに、うまいとかまずいとか一切言及せずに、2週にわたりここまで書いてきましたが、「8時間おひたし」をラジオでは試食していました。最初は半信半疑だったユカイさんも「一ランクも二ランクも高いおひたし」と絶賛。リスナーからも作ってみたいの声殺到。藤井アナ「ツチヤイズムが浸透していきそう」。ユカイさん「浸透しちゃうよ。毎日食べたいよ」。日本中、「8時間おひたし」。圧巻です。まあ、毎日食べたくてもウルトラマラソン以上に調理に時間がかかるので、毎日は食べられないのが残念なところですが。

それにしても、理路整然とした喋りのせいか、久々にシラフで生声を聞いたせいか、何だかちょっとイメージが違いました。やはりオシャレ路線を進むのでしょうか。新刊の背表紙の著者近影もオシャレ七三でなんだか今までと違う雰囲気を醸し出しています。マライア・キャリーばりにカメラマンに注文をつけて仕上がった奇跡の一枚かもしれませんが、デキる男風です。本だけではわかりませんでしたが、面倒なだけでなく、実はおいしい。そんな土屋敦の『家飲みを極める』。興味ある方は是非。土屋敦は一時間ごとにランキングばかり気にしているので買ってみてください。今週もメルマガスタートです。

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