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ビールがおいしい季節になってきました。「おまえにビールの味がわかるのか」と突っ込まれそうですが、うまい、まずいくらいは判断できます。そんな私のオススメは伊勢角屋麦酒のクラフトビール!芸能人の小遣い稼ぎのブログみたいな始まりですが、みなさん、いかがお過ごしでしょうか。栗下直也です。
伊勢角屋麦酒は麦酒関係者なら知らない者はいない、世界のビールコンペティションを総なめしているクラフトビール界の雄ですが、なんでそんなにうまいビールがつくれるのか。いくつか理由はあるのでしょうが、社長の鈴木成宗さんが、熱すぎるのもひとつでしょう。
ビールをはじめとしてお酒に酵母は不可欠ですが、鈴木さんは酵母愛に満ちあふれています。ちょっとやそっとの愛ではありません。
朝、工場で酵母と会話するのが日課といいますが、もはや一般人には意味がわかりません。「話すの酵母と?」って世界です。
社長業が激務で時間がない日々を送りますが、時間があればしたいことは?と聞かれれば「酵母採取に出かけたい」とか。「はっ、酵母って採取するものなの」って思った方も少なくないと思われますが、そんなあなたは正し過ぎます。ビール醸造家でも野に出て酵母をとる人なんてほとんどいません。「虫取りと同じだよ」って涼しい顔の鈴木さんですが、絶対に虫取りとは違います。
で、結局、鈴木さんって誰なのって話になりそうですが、1967年生まれの伊勢の餅屋の経営者です。餅屋といってもそんじゃそこらの餅屋ではなく、創業が1575年。創業の年が長篠の合戦が勃発した年といわれても、なんだか昔過ぎてよくわかりませんが。
餅屋の跡継ぎとして堅実に生きる道もあったでしょうが、大学で微生物の研究に没頭した鈴木さんは、餅を単にこねる日々に満足するわけがありません。1994年にビールの規制緩和(必要な年間生産量が2000キロリットルから60キロリットルに引き下げ)の報を受け、「ビールといえば酵母、微生物か!」とビール事業に参入。こんな単純でいいんでしょうかとこちらが心配になります。
こう聞くとなんだか「生活に不自由しない地域の名家の跡継ぎの道楽」と思われるかもしれないが、鈴木さんのすごいところは酵母愛を膨らませ、事業開始後数年で海外のビールコンテストで優勝しちゃうところ。酵母愛というと非常に抽象的で非科学的な響きを帯びていますが、鈴木さんは「ビールは計算してつくれる」を徹底。その製造方法は非常にロジカルで、今では大企業の最新鋭設備を用いて研究開発を進めています。
とにもかくにも、創業から多くの時を要さずに愛とサイエンスの両輪で爆走し、コンテストで優勝、一気に日本を代表するクラフトビールメーカーになる土台をつくりましたが、ここから暗黒の日々が訪れます。全くビールが売れない。
給料をとることができず、貯金を崩す日々。理髪店に行けずに、髪は妻に切ってもらい、飲み会は予算オーバーになりかねないから常に3000円だけ置いて中座、家族旅行のディナーはコンビニ弁当、出張は夜行バス。おいおいおい、400年の歴史を持つ餅屋まで共倒れになりかねない苦境に追い込まれます。
良いモノをつくっても事業がうまくいくわけがない典型的な罠にはまってしまった鈴木さん。果たして、ここから、いかにして長く暗いトンネルを抜けたのか。鈴木さんの変人的な発酵愛ととともに気になる方は『発酵野郎!』(新潮社)を是非お読みください。
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