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こんにちは。栗下直也です。月曜の夜に事務局の仲尾夏樹からメールが来ました。
「いつも前文の入稿がアホみたいに遅いので私も忙しいので明日中に送ってください」。この100倍くらい丁寧なのですが、いいたかったことは、おおきくズレてないはずです。
まさかの展開です。水曜の朝に久々の朝会が開催されるはずだったのです。「メルマガのネタを考える必要がない。うっひょ」と、珍しく楽観モードだったのですが大きく目算が外れました。恨みがましく、予定を確認したら、朝会の開催が水曜日でありませんでしたし。完全に認識を間違えていました。これでは、「仲尾夏樹が二日酔いのボクを急かしたせいで、前文をお休みします」の伝家の宝刀が抜けません。
そうした中、昨日火曜日に、本屋をぶらぶらしていたら、まさかの発見がありました。HONZ初代編集長の土屋敦の新刊『家飲みを極める』(NHK出版新書)が店頭に並んでいるではありませんか。
新たなHONZ読者はもはや顔も知らない土屋敦の新刊です。いくつもの伝説的なレビューを残したために暴走族の初代総長並に神格化されつつも、実はメンバーは誰も大して気にかけていない、あの土屋敦の新刊です。実際、ツチノコか土屋かくらいに誰も生土屋を見ていません。
『家飲みを極める』。最近著作を連発している土屋ですが、ペペロンチーノ、ハンバーグと来て家飲みです。それにしても納得の「家飲み」です。
かつて、こちらがいくら誘っても、山梨県の自宅に籠城して、飲み会に決して顔を出さなかった土屋です。人間よりもミミズとの会話が多いとの怪情報すら最近では聞こえてくる土屋です。「極めるって、飲み会拒否って、家でしか飲まないって極めすぎだろ!!!」と書店で絶叫したかったのはいうまでもありません。
ただ、場数の違いは伊達ではありません。目次はかなり挑戦的です。
「枝豆に日本酒の衝撃」、「なぜ刺身には塩なのか」。
「枝豆にビール」を完全否定。ナイターを見に行く団塊おやじを全員敵に回しかねません。刺身にべっちょり醤油の新橋サラリーマンをまっぷたつにぶったぎりの「刺身に塩」。マジかよ、ツッチー。でも、最大の衝撃はそこではありませんでした。しばらく会わないうちに変貌を遂げたのでしょうか。文章におしゃれな雰囲気が垣間見えるんです。
例えばサーモンの食べ方。
春なら畑に咲く大根の花、そして初夏から秋は庭に植えてあるナスタチウムの蕾と塩で食べるのが、何より気に入っている
農園でも経営しかねない勢いです。もはや新橋系サラリーマンには異次元の世界です。うまく発音できないよ、ナスタチウム。
とはいえ、以前からの「ツッチーマニア」を落胆させない、こだわりは健在です。家でつくるつまみのはずなのにタマネギを三日漬けると良いとか、じゃがいもを電子レンジで表裏をひっくり返して、2度チンしろとか。試作を重ねて生み出したこだわりの工程はありがたいのですが、「締め」として推奨する「焼きおにぎり」や「味噌汁」を食べる頃には夜が明けているのは間違いありません。もはや、ウルトラマラソンか、土屋のレシピかの選択を迫られている気分です。体力のないボクでは前者を選びかねません。
この衝撃を土屋敦にメールしたら「この本を読めば、めんどくさくて家飲みがやめたくなりますよ~」。すすめているのか、すすめていないのか。もはやわかりませんが、土屋敦は土屋敦でした。今週もメルマガスタートです。
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