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こんにちは。土屋敦です。先日、メルマガ編集長の栗下直也から、突然こんなメッセージが届きました。
「栗下家の平和のために来週のメルマガをお願いします」
いったい、栗下家になにがあったのでしょうか。
毎号繰り広げられる、自虐に満ちた酔っぱらいネタとエロネタについに堪忍袋の緒が切れて、HONZを取るか家族を取るか、パートナーに迫られたに違いない。これは大変な事態だ!と幹部を集めての緊急会議を招集し、栗下には、「何があったんだ?言いたいことがあったらちゃんと言ってくれ!」と呼びかけたものの、音信不通。
と思ったら、ずいぶん時間が経って返信が。
「いや、あの、ちょっと休暇取るので、やる気がおきなくて。まあ、休み中にカチカチPCを打っていると妻にキレられるのは間違いないんですが」
ちなみに、休暇と言っても、いつもと同じで家にいて酔っ払っているだけで、メルマガを書こうが書くまいがいずれにしても妻にキレられるそう。「だったら書けよ」と言いたいところです。
ところで栗下といえば、ついさっき、こんな話を副代表の東えりかから聞きました。
今年ももうすぐ、毎年恒例のHONZの本『ノンフィクションはこれを読め!』が発売予定で、今、校了に向けて作業の真っ最中なのですが、栗下の原稿に、校閲者からこんな指摘が入ったのです。
「内容がなさすぎる」
えーと、校閲というのは通常は誤字脱字、意味の通らない文章、事実関係の間違い、誤用や語句の統一なんかを指摘してくれるのです。それが一歩内容に踏み込んで、というかズカズカと内容に踏み込んで、「内容がなさすぎる」とゲラに鉛筆で書き込んできたというわけです。
よほど見かねたのでしょうか。私も校閲の方の気持ちがわかるような気がします。
それにしても、校閲者に「内容がなさすぎる」(しかも「内容がない」ではなく、「なさすぎる」というところに、校閲者の呆れっぷりが反映されていて、スゴイです)と言われた新聞記者は日本にどれぐらいいるのでしょう(栗下直也は、あれでも業界紙の記者です。実は著書もあります)。
職業人としての彼に、「家族の平和」よりはるかに深刻な危機が迫っているように感じつつも、彼に新たな伝説が加わったことを祝福しながら、今週のメルマガ、スタートです。
本書は、卓越した自然観察眼の持ち主である著者が、さまざまな生きものたちと対等な目線でつきあう、いうなれば「現代の南方熊楠活動記」、もしくは「日本版ソロモンの指輪」。描かれる生きものたちとの関わりは、抱腹絶倒の短編エッセイ集のようでもある。 more
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おとめ座は計画的で潔癖。さそり座はミステリアスで一途。みずがめ座は個性派でクール。そんな星座による性格分析を聞いたことはないでしょうか。 女性なら、星占いなどでおなじみだと思います。そんな各星座それぞれの特徴を捉えて描かれた女の子たちが登場するのが坂崎千春さんによるコミックエッセ イ、『迷子の星座たち』です。
坂崎千春さんといえば、かのJR東日本のICカード「Suica」のペンギンや、千葉県のマスコットキャラクター「チーバくん」、さらにはダイハツの自動車ムーヴコンテの「カクカクシカジカ」などを手がけた人気イラストレーターです。
イラストレーターとして活動する一方で、実は2002年に『
片想いさん
』(WAVE出版)というエッセイ集を刊行しています。ちょっとした出来事から相手との距離を感じてしまったり、孤独感やコンプレックスに悩んだりする「片想い」の様子を描いていて、共感しまくりの、切なくなること間違いなしの名著なんです。
このエッセイ集に救われた女子がたくさんいるはず……。ファンの一人である私も、いつか女性の心の機微を描いていただきたいと思い、はじめてお会い したのが2010年。なんども打ち合わせをしながら、星占いが大好きな坂崎さんとの間で生まれたのが『迷子の星座たち』でした。各星座ごとに8ページのコ ミックと2ページのエッセイで構成されており、それが十二星座分描かれています。
ストーリーのテーマは、日常にありふれたささいなこと。彼氏とけんかをしてしまった、仕事が忙しくてなんだか疲れている、ひさしぶりに恋のはじまりを感じ た等々。けれども他愛もないことだからこそ、それをどう捉えるかにその人の本質が表れると思うのです。女の子たちはその心のささくれのようなものを、各星 座ならではのやりかたで受け止め、ほんの少しだけ前に進みます。
「ここに出てくる十二人の女性は、架空の人なのだけれど、ずいぶん前から知っていた友達のようでもあり、自分の分身のようでもあります」(まえがきより)
と、坂崎さん自身がおっしゃっているとおり、自分自身や、自分の友達を見ているような気持ちで、「うんうん、わかる」「そういうことあるよね」と登 場人物に共感して応援したり、逆に元気をもらったり……。だからといって一足飛びに事態が進展したり、問題が解決するわけではないのもまたいい!現実がそ う甘くないことは女性たちも分かっています。あなたはあなたのままでいいんだよ。そう優しく背中を押されているような気持ちになる物語なのです。
物語中にはたびたび、猫やハムスターなどが主人公たちが飼っているペットとして登場するのですが、坂崎さんが描いてきた、かの有名なキャラクターた ちを彷彿とするようなまるっとしたシルエットに、飼い主に対するシニカルな心の声が記され、それがとてつもなくかわいく、物語のスパイスとなって効いてき ます。
エッセイでは坂崎さんと各星座の女の子たちとの思い出が語られ、読むほどに坂崎さんの人となりや、観察力、人への接し方が透けて見えてきます。
坂崎さん自身はやぎ座。やぎ座らしさ、といえば真面目、こつこつ努力する、堅実というイメージですが、ご本人はそう思っていなかったらしく、友人たちのあ る言葉で意外な自分の姿に気づいたとエッセイ中で書かれています。読者のみなさんも、自分の思わぬ一面に気づくかもしれません。
かくいう担当編集の私はおとめ座。おとめ座についてのエッセイでは「同士よ!」とタイトルをつけて「素の自分が出せるような気がする」とのこと。やぎ座と おとめ座は同じグループに属するんだそうです。この本は坂崎さんと「この子はこういうときどうするのか」と何度も相談をしてできた本です。坂崎さんの根っ こにある思いを私が少しでも引っ張り出して表現するお手伝いができていれば本当にうれしく思います。
坂崎さんのイラストのファンの方々にも、エッセイのファンの方々にも応えるかわいい本です。どうか多くの人に届き、癒しとなりますように。
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