>> 正常に表示されない場合はこちらから
こんにちは。もはやメルヘンとは誰も呼ばなくなったメルマガ編集長の栗下直也です。
何を言い出すのかと思われるかもしれませんが、名前って大事ですよね。
先週、居酒屋で一人さびしくレモンサワーを飲んでいたら、後ろのリア充っぽい軍団が「キラキラネームの子どもはいじめられる。ちゃんとした名前をつけなきゃダメだ」とマッチョなことを語っていました。数年前に、我が国の偉い政治家も「キラキラネームをつけられた多く(の子供)はいじめられている。ペットではないのだから、そういう親も指導しなければいけない」と叫んでおりましたね。主張の是非はともかく、子どもは残酷です。
そのような経緯もあり、「そもそもキラキラネームって定義あるのかよ」という疑問が浮かび、『キラキラネームの大研究』(伊東ひとみ、新潮社)を読み始めたのですが、心配すべきはわが身のような気がしてきました。ある地方都市の実際の届出が掲載されているのですが、5年後、10年後に日本中がキラキラしまっくている名前が並びます。
「澄海(すかい)」や「在波(あるふぁ)」、「今鹿(なうしか)」、「心愛(ここあ)」、「希星(きらら)」に囲まれたら自分の名前が弱々しくて失禁しそうです。そこまでいかなくても、「羽琉(はる)や「龍心(りゅうしん)」「叶汰(きょうた)」あたりでも肩身が狭く、目を見てまともに喋ることができなさそうです。何よりも、今挙げた名前のどれひとつとして一発で変換できません。そんな世の中困ります。
名前を読めなかったら、仕事に支障が出るかもしれません。部下の名前が読めないので、頼み事もできずに職場でモジモジしているオッサンになりかねません。「職場で下の名前を呼ぶことってないだろ」って突っ込みは文脈上、勘弁してください。
冗談はさておき、本書ではキラキラネームの読み方(名づけ方)の法則を明かしています。また、ルーツを辿ることでDQNな親の所業として片付けられない日本語の宿命を突きつけます。看板に偽りなく、「大研究」している一冊です。
余談ですが、私、中学に入学したときに、数学の先生が私の苗字のクリシタをクリゲと呼んでしまったために、その日からしばらくは「下痢のクリゲ」と馬鹿にされた忌まわしき過去があります。別に名前がキラキラしていなくても、からかわれるのです。古今を問わず、子どもは残酷なのです。今週もメルマガスタートです。
本日5月18日より、SmartNews「読書チャンネル」へのコンテンツ配信がスタートしました。「読書チャンネル」は、各出版社や取次が提供する新刊本情報、書評サイトなどのコンテンツを集約し、本に関するさまざまなニュースを提供するチャンネルです。本に関する情報をワンストップで見ることができる「読書チャンネル」への配信を通じて、より多くの人にノンフィクションの面白さを伝えていきたいと思います。 more
内藤 順 |
これは凄い本だ。大手新聞紙の発行部数が下落し始めて久しいが、本書で描かれるような記者の情報収集能力の高さを目の当たりにすると、新聞社というシステムが持つリソースの潤沢さを思い知らされる。著者は朝日新聞の北京特派員として、6年弱にわたって中国… more
佐藤 瑛人 |
18世紀、有色人種とりわけ黒人がその肌の色のみで差別され、奴隷として働かされていた時代に、ヨーロッパで一兵卒から将軍にまで上り詰めた有色人の男がいた。180センチを超える体躯(当時としてはかなり大きい)とハンサムな容貌の持ち主であったという… more
鰐部 祥平 |
2005年8月末、巨大ハリケーンのカトリーナがアメリカ南東部を襲い、1800名以上の命が失われた。中でも被害の大きかったルイジアナ州最大の都市ニューオーリンズでは、堤防の決壊により市中の8割が水没し、死者の大半を出している。 そのニューオ… more
峰尾 健一 |
500ページ二段組み。ひさびさにガッツリ読み応えのある自伝である。2001年から8年間、第43代アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュと共に歩んだファーストレディ、ローラ・ブッシュ。原題は『Spoken from the Heart』。直訳… more
東 えりか |
活気あり華やかなイメージある渋谷区であるが、区として大きな問題を抱えている。そして、その問題とは、「セレブ区」という響きから想像される華やかさからはほど遠いものである。 more
久保 洋介 |
タイトルの通り、医学専門誌に掲載された論文が、79編+75編、二冊あわせて154編も紹介されている。いやまぁ、ほんまによくこれだけ集めたものである。どれも、おもろい。紹介されている論文は、おおきく二通りに分類される。ひとつは、なんでそんなこ… more
仲野 徹 |
『舟を編む』(三浦しをん著)が本屋大賞を受賞したのが2012年。そのころだろうか、「辞書ブーム」が来たのは。本書は、その立役者のひとり、三省堂国語辞典(「三国」[さんこく]とも呼ぶ)の編纂者が語る、人間関係をスムーズにすることばの作法集。ち… more
足立 真穂 |
青汁は、野菜不足を補うだけですが、ユーグレナには魚の持つDHAやEPAも。
59種類の栄養で、野菜・肉・魚の持つ栄養をバランスよく補います。
「緑汁」は今話題のユーグレナ配合!今ならお試し980円→more
ストームチェイサーとは、直訳すると「嵐の追跡者」という意味だ。竜巻やひょう、雷などの激しい気象現象を追い、観測データの収集や映像を捉える人達を指す。本書の著者も、そんなストームチェイサーの一人だ。
茨城県下館市(現・筑西市)の写真屋の3代目として生まれ、茨城県内を中心に活動してきた青木豊。本書は、そんな彼のライフストーリーを数々の写真とともに紹介した一冊だ。
私が編集者として、ストーム・チェイサー・青木豊と真正面から向き合って強く感じたのは、彼が「ヤンキー」と「オタク」という二項対立を、いとも簡単に止揚してしまっているということだった。
「ヤンキー」と「オタク」の二項対立とは、日本人の精神構造の根っこに潜むものとして精神科医・斎藤環によって掲げられた概念だ。それならば青木豊が「ヤンキー」でかつ「オタク」であるとはどういうことか?
本書の編集で青木の写真をセレクトした時のこと。彼がアメリカで撮影した竜巻を生む巨大積乱雲、スーパーセルなどの写真の数々を章立てに従って並べてみたところ、全ページ通して改めて見てみると、写真にアメリカらしさというものが全く浮かび上がってこない。
「なぜアメリカらしさが出ないのか?」この問いは、「茨城県、とくに青木が活動する県西域がアメリカらしいからではないか?」と気付くことで解決した。
何㎞も延々と続く水田、その水田の先に光るネオンは町の入口にあるガソリンスタンドやショッピングモールだったりする。青木が雷雲やスーパーセルを追いかけて駆けめぐる茨城県西地区は、広さにおいても、景観においても十分にアメリカ的であったのだ。それならば、青木がアメリカ発祥の「ストーム・チェイサー」を日本人で初めて名乗り、活動を始めたことにも合点がいく。
ヤンキーの代表例として真っ先にあげられる暴走族は、茨城県では今でも日常茶飯事として出没する。青木は暴走族ではないし、運転には細心の注意を払っているものの、チェイスの時に聞く音楽はいつも70年代~80年代のロックで、ノリは十分にヤンキーだ。アメリカの影響を受けたという点においても折り紙付きかもしれない。
しかし彼がその道に辿りつくまでには、気象学などを猛勉強する必要があり、実際の活動においても雷雲を数日前からレーダーで探るなど、常に探究心が求められる。この点においてヤンキーでありながら、オタク度も十分に高いといえるだろう。
オタクでヤンキーというThe Japanese Storm Chaser・青木豊を斉籐環はどう分析するか? ぜひ聞いてみたい気もするのだが、編集者の狙いとしては、本質的にオタクの青木がストーム・チェイサーとして脚光を浴びることで、ヤンキー王国・茨城県のまったく新しいヤンキー文化が発信できる、いや、そうしたいと願っている。それが、魅力度ランキング47位を脱するための秘策中の秘策と大まじめに考えているのだが、これ自体、オタク中のオタクの発想かもしれない。
送信専用メールアドレスから配信されています。
このメールにご返信いただいても内容の確認・回答はできません。
お問い合わせ、ご不明な点は info@honz.jpまでご連絡ください。配信解除はこちらからお願いいたします。
ノンフィクションはこれを読め!http://honz.jp/ |